研究課題/領域番号 |
17K04638
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
西城 裕子 (磯部裕子) 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (50289740)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 深い学び / 保育カリキュラム / 自然発生的遊び / 遊び観 |
研究実績の概要 |
本年度の研究は、先行研究を整理しつつ、実践を通して、我が国の保育カリキュラムの課題を明らかにすることと、研究園A、Bの事例を文字記録と映像記録をもとに整理し、「遊びを中心とした実践」のカリキュラム化の課題を整理することにあった。 研究園A,Bは、本年度に開園した新園でもあることから、子どもたちにとっても保育者にとっても、新しい環境であり、新しいカリキュラムのスタートでもあることから、保育のカリキュラムを作り出す段階の子どもの生活そのものと保育者の役割を分析するに必要な記録を取ることができた。記録の一つひとつの分析には至っていないが、次年度以降に整理していく。 これまでの保育カリキュラムが、保育者からの伝達型(教授型)の遊びを中心に編成されていることから、本研究では、子どもの本質的な遊びを検討する方法の一つとして、遊びの始まりに着目している。研究園Cにおいては、保育者からの伝達ではなくまさに「自然発生的な遊び」の事例が展開しており、その事例の分析を進めることができた。年中時から卒園時に至る1年半にわたる遊びの展開と深まりは、遊びを通した学びの事例として意味ある事例であり、小学校の生活科の学びにつながる実践でもあったことから、公開でその事例の検討のための研究会を実施した。実践者、小学校教員、科学館指導員、研究者でのシンポジウムを開催し、検証の第一段階を終えた。そこでの議論を踏まえ、その他の事例を含めて、「遊び」の捉えと「学び」の深まりについて、次年度以降に検証を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
翌年に予定していた研究園Cの事例を中心とした分析に時間を要したため、当初予定していた新設研究園A,Bの事例を十分に収集することができなかった。分析のためには、多様な場面の事例が必要なため、引き続き事例を収集し、検討を進める。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、事例を収集したうえで、事例の記録を整理し、分析を進める。新設園A,Bについては、開園2年目ということもあり、新たな環境の中での遊びの展開に変化がみられる。それらの遊びに着目しながら、事例分析を進める。また、1年間の子どもの遊びと生活を共にした保育者が、新設当初予想していた子どもの姿とのずれと課題に着目し、修正するカリキュラムに着目して、検討を進める。今年度の後半には、子どもの遊びを中心としたカリキュラム化の可能性と課題を整理し、研究最終年度予定しているカリキュラム案を作成のための基礎資料の作成と理論的な整理を進めていく。同時に、実践者とともに、実践づくりを進め、主体的・対話的で深い学びを実現するための具体的事例も構築していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究園の事例収集のための調査が近距離園に集中したため、調査旅費等の支出が少なかったため。
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