本研究の目的は、社会的な困難を抱える当事者と支援者・地域住民の双方向的な学びが成立する条件を協同労働概念の検討を通して明らかにすることにある。知識詰込み型教育とは異なる社会教育は、地域の実際生活に即した共同学習を主要素としている。ただし、社会的協同実践に関わる人びとの問題関心や直面している課題は多様であり、協同行動自体が対立・矛盾的契機を内包している。つまり、協同(労働)は利害関係が対立する空間でもある。本研究では、学習主体が入り混じる協同労働の空間の形成論理の解明を通して、包摂的な社会建設に向けた相互主体的な学習活動固有の意義と展開可能性の検討枠組みを提示した。
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