本研究の目的は、私立幼稚園等の園長、ミドルリーダー、新任を対象とした質問紙調査を実施し、ミドルリーダー育成の実態を明らかにし、その課題を分析・考察することを通して、ミドルリーダー育成のための研修システムを検討することである。本年度は、質問紙調査結果をもとに、ミドルリーダー育成の課題を整理した。質問紙は私立幼稚園等1121園に配布し、245園から回答を得た。調査結果によると、ミドルリーダーの年齢は30~34歳が最も多かった(全体の22%)が、20代、あるいは40代のミドルリーダーもいる。ミドルリーダーの年齢層は幅広い。他園から転職した教員がミドルリーダーとなっている場合も一定数いる。 園長は、ミドルリーダーに教職員間の関係をつなぐ役割を期待している。そのために必要な研修として自ら学ぶ姿勢とリーダーシップを挙げている。ミドルリーダーは、求められ資質等は、園全体の把握、まとめ役、新任指導を挙げ、特に園内研修での話し合いを活性化する役割を認識している。新任は、子どもとの関わりや保育に関わる問題を抱えて悩んでいるが、園の組織風土については、教職員間の学び合う姿勢や専門性を高めていく雰囲気を感じている割合が、園長やミドルリーダーより高い。 この調査結果より、保育実践の中核を担うミドルリーダー像が明らかになるとともに、ミドルリーダーとしての力量をつけるために、園内研修での話題と日々の実践を結び付けながら話し合いながら「関係づくり」を進め、目的の共有とともに問題解決のプロセスを共有する研修システムを構築することが重要であることを確認した。そのことは話し合うことが協働することにつながり、「関係の質」の改善となることを意味する。本年度は、研究の成果を報告書としてまとめ、リーフレット「幼稚園・認定こども園におけるミドルリーダーの実態と育成のための提案」を作成し、調査にご協力を戴いた園に配布した。
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