研究課題/領域番号 |
17K04644
|
研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
野澤 純子 東京家政大学, 子ども学部, 准教授 (20451693)
|
研究分担者 |
藤後 悦子 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (40460307)
石田 祥代 千葉大学, 教育学部, 教授 (30337852)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 特別ニーズ保育 / インクルーシブ教育 / 家庭支援 / 気になる子 |
研究実績の概要 |
インクルーシブな学校教育への円滑な移行実現に向けた保育者の主体的な判断に基づく早期からの家庭支援に関し、実態調査、実践研究を通したモデル開発のために次の研究を行った。1.通常の小学校在籍の特別ニーズ児の保護者の経験談から、保護者が求める保育者による早期から就学移行期の家庭支援を明らかにすることを目的に、就学前に保育所・幼稚園を利用したことのある通常学校在籍の障害児15名の保護者12名を対象に面接調査を実施した。内容は、基本的情報、園利用時の工夫と困難事項、園との連携や関連諸機関連携、良かったと思う支援、その後の子どもの育ちや家庭・学校生活に良い影響があった支援、園から受けたかった支援であった。結果は、①入園・進級時の対応と連携、②日々の園生活や発達上のスキルに関する支援、③日々の情報交換、④トラブル対応、⑤就学支援とその効果、⑥園の体験とその後の影響の6つに分類された。課題は保育者が実践するため具体的方法の提案が必要と考えられた。2.質問紙調査:1と同内容を園の5歳児と通常学校在籍の障害児の保護者95名を対象に質問紙調査した。結果、保育の場での援助ニーズは,集団行動や友達との関わりが上位に挙がっていた。また,移行期への援助ニーズとしては,「就学先の学校・学級」が最も高かった。さらに移行期に伴う「子どもの不安定さ」への援助ニーズの高く、移行期の家庭支援の必要性が再確認された。3.インクルーシブ教育の先進地域であるフィンランドの保健センター、保育所、就学前学校、小学校の視察・インタビュー調査を実施した。結果、保健センターでのグレーゾーン児の発見に続く家庭支援や子育て支援センターの家族支援、学童と学校連携、移行期の保小連携など関連機関の密な連携と連続性のある支援の要素を把握した。全ての子どもの規範意識や自己理解を深めるための教育と家庭との連携から実践的要素を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。 昨年度は計画していた先進的地域の視察調査、および保護者の経験知からの要素分析を行い、就学前に保育者および保育機関が家庭支援を適切に行うための要素を分析抽出した。 保育所の家庭支援の成功事例のデータはまだ十分ではなく、次年度の課題とした。
|
今後の研究の推進方策 |
31年度は次の研究を行う。 1.先進的取り組みを行っている園での家庭支援の成功事例の収集(インタビュー調査)から支援案を補完する。10箇所程度の保育園の園長または主任を対象とし、40分から60分程度の半構造化面接を行う。内容をこれまでの経験で、保育士による気になる子どもの家庭支援がうまくいった事例について情報を収集し、データを整理分析し、適切な家庭支援の要素を抽出する。 2.円滑な移行実現に向けた保育者の主体的判断に基づく家庭支援モデルの開発 ①これまでの研究成果に基づき、インクルーシブな学校教育への円滑な移行実現に向けた保育者の主体的判断に基づく家庭支援案の作成、保育者と保護者の協働の視点から保育士が実践する子どもの行動の見立てや具体的な対応等の方法についての家庭教育へ適用案、補助的手段の作成の作成。 ②インクルーシブな学校教育への円滑な移行実現に向けた保育者の主体的判断に基づく家庭支援モデルの開発家庭支援モデルを3~4か所の保育の場における実践に適用し、効果を検証する。 研究成果を保育関係、障害児支援関係の雑誌に投稿し、学会発表を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
海外視察に行く予定の1名が、本務の急な都合によりキャンセルとなり、予定していた旅費分が繰り越しとなった。急遽調査計画を建て直し、2名の研究者で海外先進地域の調査を行い、データを得たため、次年度使用額は、今年度にデータが不足していたの国内先進地域の成功事例調査費用とする。最終年度の成果発表費、報告書費用にも支出する。
|