研究課題/領域番号 |
17K04647
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
井戸 ゆかり 東京都市大学, 人間科学部, 教授 (60331500)
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研究分担者 |
内藤 知美 田園調布学園大学, 子ども未来学部, 教授 (10308330)
園田 巌 東京都市大学, 人間科学部, 准教授 (60772217)
小泉 裕子 鎌倉女子大学, 児童学部, 教授 (80310465)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中堅保育者 / キャリアラダー / 現職教育 / 研修 / 自己評価点検 |
研究実績の概要 |
本研究は、中堅保育者の成長プロセスと課題について着目し、第一に保育者の成長を支え、保育の質の向上、課題解決、就労意欲につなげる現職教育と研修について検証すること、第二に幼児教育・保育の質の向上と意欲につながるキャリアラダーについて検討し、それにリンクする現職教育と研修のシステム構築を目的としている。 今年度は、前年度のヒアリング調査等を受けて、都内の中堅保育士約200名を対象とし、中堅保育者の課題、中堅保育者が獲得すべきスキル、保育者の専門性、スキルアップを目指すための研修体系等について質問紙調査を実施した。結果は分析中である。 また、都内および近郊の保育所14か所(認定こども園を含む)を対象に、キャリアラダー構築に向けてその基礎的調査を行うことを目的に、保育所が実施している自己評価点検表をもとに質的分析を行った。キャリアラダー構築のためには、階層ごとの達成目標の明確化が必要である。現在保育所で実施されている自己評価点検は、保育士に求められる技能、能力、資質について行われるものであり、階層ごとの達成目標と関連していると考えられる。調査では保育所が保育士のキャリア形成に必要と考えている項目を抽出し、検討・考察した。その結果、最も多く設定されていたのが管理系の項目(マネジメント)であり、スペシャリストとしてのキャリア形成の項目が比較的少なく、ジェネラリストを中心に考えている傾向があるのではないかということが示唆された。キャリアラダーの有効活用は保育現場の実態と乖離しないことが大切であり、今回の調査結果をもとにスペシャリストに関連した評価項目の導入とともに、バランスのとれた評価項目の見直しを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒアリング調査、質問紙調査等、本研究に必要な調査はほぼ終了し、分析・検討・まとめの段階となっている。先方の都合でヒアリング調査が延期になったところがあったが、今年度早い時期に実施することになっている。 日本保育学会第72回大会において成果の一部を発表した。 以上、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのヒアリング調査、質問紙調査の結果から明らかとなった中堅保育者の課題をふまえ、中堅保育者の成長プロセスを支えるキャリアラダーおよびそれにリンクする現職教育、研修のシステムを具体的に検討する。また、基礎的調査を行った際、各保育所における自己評価点検の項目についての見直しが必要と思われ、それについても検討を始めており、当初の予定にはなかったが可能であれば研究期間内にモデル案を作成できればと考える。 研究を遂行する上での課題としては、研究を進めていく過程で今後検討すべきあらたな課題を見出すことができた一方で、当然のことながら研究期間内にそれらすべての課題について成果をあげることは難しい。したがって、本研究では当初の目的における研究成果をまとめ、あらたな課題については研究期間終了後も、継続的に研究していくことが必要だと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者を含め、先方の都合により出張が延期になってしまったケースがあったこと、調査協力者が謝礼を辞退するケースが複数あったことなどにより残金が生じた。 先方の都合で延期になったヒアリング調査は速やかに実施し、これまでの調査結果をまとめ、学会発表、報告書を作成する。
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備考 |
※井戸ゆかり(2018)「相手の気持ちを分かりたい 自分を分かってほしいと思う心が生まれる時『児童心理』第72巻第12号金子書房pp.26-31, ※園田巌(2018)「保育所に求められるソーシャルワークの視点『月間福祉』第101巻第5号 pp.32-35 ※井戸ゆかり(2018)「見通しをもった適切な子どもへの対応や保護者への援助方法-発達を的確に捉える目を養う-」(渋谷区中堅保育者対象研修)
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