本研究の意義としては、保育者の子ども理解を“子どもとわかり合おうとする関係構築プロセス”という視座から捉え直した結果、①保育者が子どもと協働的に“わかり合い”を紡ぎ出す能動性を有した絶え間ないプロセスであること、②二者間のみに閉じられた理解ではなく、多様な文脈との往還を踏まえて生成・変容していく開かれた理解であることが示唆された。特に、保育者のキャリア発達に伴い“わかり合い”を捉える視座の転換・獲得が見出されたことから、子どもを“わかる”から“子どもとわかり合おうとする”という思考転換に基づき「わかり合おうとする志向性」の涵養を図ることは、保育者の力量形成に資すると考えられる。
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