研究課題/領域番号 |
17K04652
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研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
八木 成和 四天王寺大学, 教育学部, 教授 (90253244)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 保育者 / 教育相談 / 「気になる」子ども / アセスメント / 個別の指導計画 |
研究実績の概要 |
本研究では、教育相談に関する発達障害や「気になる」子どものアセスメントを中心に、保育者の教育相談能力を高める研修プログラムの開発を目的としている。 平成30年度は、以下の調査・分析を行った。第一に、2018年度更新講習選択領域を受講した保育者171名の回答を分析対象とし、保育者が対人関係に課題のある子どもに対してもつ課題意識を明らかにするために質問紙法による調査を実施した。その結果、「対人関係に課題のある子どもを今までに担当したことがありますか。」という教示に対して「ある」と回答したのは157名(91.8%)であり、対人関係に課題のある子どもに対して困っていたこととして「集団行動がとれない」と「落ち着きがない」の2項目の選択率が高いことが示された。 第二に、本学の2018年度更新講習の選択必修領域「幼児期の教育相談(いじめ・不登校への対応を含む)」の受講者のうち、保育者222名を分析対象とし、教育相談で相談された内容等について調査を行った。平成29年度の研究結果から保護者から相談される内容として「食生活等」「トイレット・トレーニング等」「発達全般」「言葉(発語・理解)」「生活習慣・行動・くせ等」「友だち関係」「親子関係(しつけ等)」「きょうだい関係」「夫婦関係等」「保護者間関係」の10個のカテゴリーを抽出していた。その結果から、さらに修正して、調査項目を作成し、保育者の教育相談の現状、困難さ、成功例、誤解例を明らかにした。 以上の研究から保育者の課題意識を検討することができた。今後、対応方法に関する事例の紹介や知識の共有化の方法を検討し、研修プログラムの開発につなげることができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は以下の3点について研究を進めることとしていた。 第一に、これまでの発達障害や「気になる」子どものアセスメントや理解について保育者がどのような点で難しさを感じているのかについて分析を行うことを計画していた。平成29年度は受講者への質問紙法による調査結果から、教育相談において難しさを感じている内容が多様であり、今後も検討することとした。平成30年度は量的な資料を得ることができ、分析できたが、具体的な内容についての記述式のデータの分析が不十分であった。さらに分析を進める必要性が生じた。 第二に、更新講習の受講者には、事前の課題意識調査が義務付けられている。教育相談に関する更新講習の受講予定者の保育現場における研修ニーズや現状の課題に関する調査用紙の開発を行うことを計画していた。平成31年度受講予定者には7月に実施することにしているが、項目の内容の検討をさらに進めたい。 第三に、乳幼児期を中心にした教育相談に関わる発達障害のある子どもや「気になる」子どものアセスメントや支援方法に関する研修内容の検討を行うことを計画していた。調査により得られた資料から研修内容を検討しており、8月に実施することによりその効果が検討できる。 本研究では、保育者の教育相談能力を高める研修プログラムの開発を目的としているため、計画し、実施することにより効果を検証しながら、改善し、研究を進めていく必要がある。計画し改善していく段階であり平成31年度に効果の検証を行う。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の調査結果の分析から、平成30年度に使用する事前の課題意識調査の項目の内容を検討した。平成31年度も引き続き検討を行っている。さらに講習内容の改善に資するような資料を得られる項目の作成を目指している。平成31年度の7月に実施予定であり、その結果の分析を今後も予定している。 同様に、平成31年度の更新講習の内容を検討中である。特に、平成28年度から選択必修領域となった「幼児期の教育相談(いじめ・不登校への対応を含む)」は平成31年度も受講予定者の増加が見込まれており、1クラスの受講者数が多いことを前提とした講習内容を検討している。 また、受講者への調査を通して保育者の教育相談に関する課題と研修ニーズに関する資料を収集し、研修の成果と研修内容の改善を検討することを計画している。
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