研究課題/領域番号 |
17K04657
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
井本 美穂 岡山理科大学, 教育学部, 講師 (40780705)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 幼稚園 / 音楽教育 / キリスト教 / 宣教師 / 音楽教育史 / 幼児教育 |
研究実績の概要 |
本研究は,明治期から大正期のキリスト教系幼稚園における音楽活動の実相を明らかにし,キリスト教系幼稚園の音楽活動が日本の幼稚園の音楽活動にどのような影響を及ぼしたかを解明することを目的としている。具体的には,①当時のキリスト教系幼稚園で行われた音楽活動の内容を明らかにすること,②①の音楽活動の基盤となった教育理念を明らかにすること, ③キリスト教系幼稚園と日本の幼児教育関係者および幼稚園とのネットワークを把握し,音楽面での影響関係を明らかにすること,を目指す。 平成29年度は,①に重点をおき,明治・大正期のキリスト教系幼稚園に関わる楽譜,日誌,指導案,職員録などの史料を収集して音楽活動の実相を把握する手がかりを得ることとしていた。まず,キリスト教系幼稚園についての情報を収集し,調査対象とした幼稚園のうち史料閲覧許可の得られた幼稚園での史料収集を実施した。収集した史料は現在精査中であるが,書簡や保姆(幼稚園教諭)の手記の内容から,キリスト教系幼稚園同士で保姆の紹介および派遣を行っており,当時のキリスト教系幼稚園の保姆が予想以上に日本国内で連携していたことを把握することができた。音楽教材に関しても,複数の幼稚園で共通の外国曲の手書き楽譜が保存されており,音楽活動に関する情報が共有されていた可能性がでてきた。②に関しては,幼児教育思想に関する学習の軌跡を記した保姆の手記を収集することができた。1日の教育内容をある主題に基づき統一している幼稚園では,主題に沿った歌唱活動を行うために,歌詞を保姆が作詞している事例もみられた。幼稚園の教育理念と音楽活動内容との関連については今後詳細に検討していく予定であるが,その手掛かりとなる史料をある程度収集できたと考えている。 その他,幼稚園所在地の自治体史,および次年度以降に実施する予定であった当時の新聞・教育雑誌記事の調査・収集も一部行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はキリスト教系幼稚園に関する情報収集・史料収集の期間としていた。キリスト教系幼稚園に関する情報収集に関しては,キリスト教系幼稚園の沿革史を辿ることにより,各幼稚園の教育方針等の全体像を把握することができた。また,収集した職員録から,各幼稚園の保姆の経歴がわかってきた。今後はこれらの情報を基盤として,各幼稚園における教育理念の解明,および日本の幼児教育関係者との交流関係を探っていくことができると考えている。 幼稚園の史料収集については,史料閲覧不可の幼稚園があったため、多少遅れが出ているものの、30年度以降に行う予定であった新聞・教育雑誌記事の調査・収集を先取りするなどしており、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
遅れをとっている幼稚園の史料収集について早急に史料閲覧可能な幼稚園を選定し,一次史料の収集を進める。日誌など収集した史料については解析を進め、各幼稚園での音楽活動の実践内容を明らかにする。さらに、それらの音楽活動がどのような教育理念のもとで行われていたかを、実践した保姆の経歴や人脈を辿りつつ解明していく。海外での学習歴をもつ保姆については、留学先である米国の保育者養成校での史料収集を行い,海外での学習経験が日本の幼稚園での実践に及ぼした影響について把握する予定である。以上をふまえたうえで,キリスト教系幼稚園と日本の幼児教育関係者および幼稚園とのネットワークについての調査を行い,音楽面での影響関係を明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
幼稚園の史料を収集する機会が、閲覧不可の幼稚園があったことと大学業務の都合により計画した回数分得られなかったため、次年度に持ち越した。次年度の史料収集旅費に充てたいと考えている。
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