研究課題/領域番号 |
17K04663
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研究機関 | 岐阜経済大学 |
研究代表者 |
藤岡 恭子 岐阜経済大学, 経済学部, 教授 (60457918)
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研究分担者 |
田口 鉄久 鈴鹿大学, こども教育学部, 教授 (50350864)
小島 佳子 鈴鹿大学短期大学部, こども学専攻 幼稚園教諭・保育士コース, 助教 (70726281)
江藤 明美 鈴鹿大学短期大学部, こども学専攻 幼稚園教諭・保育士コース, 非常勤講師 (90739583)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 教育行政学 / 教育福祉行政 / 社会教育行政 / 幼小接続カリキュラム / 学習コミュニティ / 専門職開発 / 地域住民参加 / アクションリサーチ |
研究実績の概要 |
本研究では、子どもの全人的発達保障を中核にすえた保幼小中の「継ぎ目のない」支援システムを、教育委員会・市長部局と学校・園との「アカウンタビリティの相補性」原理に基づく協働アプローチにより再構築することを目的として、以下の課題に取り組んできた。【1】近隣地域における教職員、子ども、保護者・住民、行政専門職の実情やニーズの聴き取りを通して、専門職間の協働を可能とする実践的課題の検討:①近隣市町の保育・幼児教育と小学校教育の接続カリキュラム開発を継続してきた(田口)。②近隣県教育委員会の社会教育委員として(藤岡・田口)、県下の社会教育実践政策デザインへの提案を行った。③社会教育行政が主宰する地域住民の教育活動を支える研修会への参加を通して、各参加者の主体形成過程を検討してきた。 【2】地域の子育て・保育・幼児教育実践における①地域政策への提案や助言、②専門職研修、③地域子育て支援事業、④多文化共生保育事業の関与を通して、現場のニーズを政策設計にフィードバックする役割を探究してきた。こうした政策と実践を媒介する指導助言活動と、地域との信頼関係に基づく社会的ネットワークを総合的に活か し、新たな発達支援アプローチの潜在可能力の発見を試みてきた。 【3】Comer School Development Program50周年記念行事(イェール大学)に招待され参加。50年にわたり長期的・持続的に実践される貧困・マイノリティ家庭の子どもへの学習発達保障をめざす同プログラムの実践者・研究者・政策決定者が全米から一堂に会しての議論に参加し、地域における「継ぎ目のない」支援システム構築のための実践的示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
近隣地域における共同研究においては、研究分担者らによる長年構築してきた地域の社会的ネットワークの実績を、より協働的に発展させる実践研究として展開してきている。加えて、本年度は、以下の新たな学び・研究の機会を得たことにより、アクションリサーチとしての共同研究が進展している。 1) 田口および藤岡が、近隣県教育委員会の社会教育委員に任命されたことから(田口は継続しての任命)、県社会教育行政の政策設計の議論に、直接参画する機会を得ている。県下の進行中の議論をはじめ、地域連携支援システム構築に向けた計画過程に、教育委員会側から、より具体的な接近が可能になった。 2) 地域社会教育実践の場としての公民館への参加により、公民館活動をアクションリサーチにより創り出す担い手となった(江藤)。 3) Comer School Development Program50周年記念行事に招待され参加する機会を得たことから、50年にわたり長期的・持続的な実践を可能とする協働の生きた議論を入手することができた(藤岡)。 これらの機会を得て、実践的課題を当事者の内側から探究する試みとなった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である令和元年度は、個々の取り組みを、総合的につなげる論理を見出していく。また、共同研究の成果を協力自治体にフィードバックして、関係者と課題を共有し対話する機会を設ける。さらに、自治体職員への聴き取りなどを通して、地域政策設計に活かす方略を検討する。具体的には以下の諸点に着目して、理論的・実践的課題を探る。 1)地域と学校(園)が連携するための社会教育関係者の協力、就学前教育と小学校教育が連携するための双方向なカリキュラムの検討、教育委員会と市長部局の連携・一体化による幼児教育・保育施策の検討など「新たな連携枠組」の必要性を指摘する。 2)幼児教育・保育・学校教育は、単独の取組では教育的成果は限定的である。これまで個々の学校(園)で実践されてきた教育方針・実践内容を、あらためて、地域教育関係者との双方向的な実践としてどのように再構築することができるか、事例検討を通して、カリキュラムマネジメントの可能性を探る。 3)これまでの縦割り行政で硬直化した教育・保育・福祉等の課題を、境界の融合(相互乗り入れ)によって、豊かな教育・保育・福祉の政策実現をめざす。県教育委員会社会教育委員としての参画を通して、社会教育行政のコーディネート機能に着目して、地域連携支援システム構築の理論的・実践的課題を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度より、研究代表者の所属先変更に伴い、全体の総括的な機関事務を岐阜経済大学にて執行してもらうことになった。研究代表者の機関事務の移動に伴い、平成29年度までの研究分担者らの所属機関(鈴鹿大学・鈴鹿大学短期大学部)との大学間の機関事務の手続き的な調整をはかる必要があるため、暫定的に、研究分担者らへの個々の分担金を、最小限の金額にて配分し、予算執行した。
次年度(最終年度)の使用計画においては、前年度繰越分を含めて、全体的な共同研究の遂行にあたる予算執行は、代表の機関事務により総括的に執行していく。また、平成29年度に計画していた代表によるアメリカへの調査研究費についても、最終年度に繰り越し実施する。
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