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2018 年度 実施状況報告書

保育者における省察の構造の検討と養成・研修で利用し得る演習教材の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K04664
研究機関川崎医療福祉大学

研究代表者

中川 智之  川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 准教授 (50462049)

研究分担者 橋本 勇人  川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (50341144)
大江 由美  川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (20791411)
入江 慶太  川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (10508972)
伊藤 智里  川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (90413525)
重松 孝治  川崎医療短期大学, 医療保育科, 講師 (80461242)
中原 朋生  環太平洋大学, 次世代教育学部, 教授 (30413511) [辞退]
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード保育者としての成長 / 省察
研究実績の概要

平成30年度は、保育者の省察と関連すると考えられる制度的変更と保育の関連について考察するとともに、初任の保育者を対象に、保育者としての成長とその要因及び在学時と現在の比較による卒業後の省察の構造の変化に関する調査を実施した。特に本課題の中心的テーマである後者については、保育者養成校入学時から現在までの自身の保育者としての成長についてライフライン法を援用した半構造化面接により聞き取るとともに、在学時の実習記録に記載されている事例との比較から現在との考え方の相違について調査した。
その結果、自身の成長を実感するまでに3年程度の時間を要しており、他の保育者から学ぶためには、現場の流れが把握できた上で、考えながら保育をしたり周囲の保育者の動きを見たりできる心の余裕が肝要なことが示唆された。またビデオを用いた研修により、自身が見えていなかった子どもの姿や自身の保育を客観視したり、異なるクラスの先生の保育を見たり、状況・場面を共有した上で指導・助言をして貰ったりすることが、成長を促進していると考えられた。
省察の構造については、実習時よりも、(1)子どもの特徴・発達の状態を踏まえた省察(発達に関する理解)、(2)子どもによる立場・視点の違いを踏まえた省察(視点の増加)、(3)複数の子どもが異なる場所で同時並行的に活動を進めていることを考慮した省察(空間的広がり)、(4)家庭環境を含む子どもの経験を踏まえた省察(時間的拡大:過去)、(5)未来の子どもの姿を見据えた省察(時間的拡大:未来)について、変化していた。また、保育について省察する際に、(6)自身の過去の経験を活用しており、(7)複数の方法を提示することができていた。
今後、保育者としての成長と省察の枠組みの変容との関連について調査を継続し、対象者を増やして省察の構造の変化について、より詳細に明らかにすることが今後の課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

平成30年7月に発生した豪雨による災害により、近隣の地域は大きな被害を受け、その対応に多くの時間を要した。また、地域の保育現場も災害への対応及び被害の大きい地域へのフォローが必要となり、保育者における「行為の中の省察」の解明を実施するために予定していた保育実践のビデオ撮影が、非常事態の発生により実施することができなかった。上記の理由により、当初の計画よりも遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

令和元年度は、上記の理由により遅れが生じた平成30年度に予定していた研究を推進する。具体的には、保育者としての成長に関する聞き取り調査を終え、「行為の中の省察」の構造を明らかにするために、オン・ライン・モニタリング―オフ・ライン・モニタリングを用いた調査に着手する。調査を実施するためには、保育者に視聴して貰う映像の録画・編集・作成をする必要がある。近隣の園において研究の協力を仰ぎ、保育の映像を録画する予定である。その際、複数のカメラを用いた撮影や広角レンズを利用した撮影等を検討し、環境構成・子どもの表情・保育者とのやりとり等の様々な情報が得られる映像となるよう留意する。
映像作成後、初任・中堅・熟練の保育者の協力者を募り、オン・ライン・モニタリング―オフ・ライン・モニタリングを用いた調査を実施する。作成した映像を協力者が視聴する際に、実践者として気がついたことを逐次発言して貰い、その音声を録音する。回収されたデータについて、発言の主題、文節数、内容等の分析を進め、「行為の中の省察」の構造の解明を図る。

次年度使用額が生じた理由

聞き取り調査実施時のテープの書き起こし費、映像作成に関する調査・研究旅費、調査協力者への謝品費等として使用する予定だったが、前述した通り、平成30年7月に発生した豪雨災害の影響を受け、当初の計画よりも研究に遅れが生じたため。翌年度分として請求した助成金と合わせて、調査・研究旅費、研究の成果発表の際の旅費、調査協力者への謝品費、テープの書き起こし費等に使用予定。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] 初任保育者における省察の構造の変化―実習時との比較を通して―2019

    • 著者名/発表者名
      中川智之・橋本勇人・大江由美・伊藤智里・入江慶太
    • 雑誌名

      日本保育学会大会発表論文集

      巻: 72 ページ: P699-P700

  • [雑誌論文] 幼稚園教諭養成課程における「領域に関する専門的事項」に求められる授業内容に関する一考察―保育内容領域「人間関係」及び「環境」のモデルカリキュラムを手がかりとして―2018

    • 著者名/発表者名
      中川智之・橋本勇人・入江慶太・尾﨑公彦・笹川拓也・大江由美・三宅美智子・重松孝治・橋本彩子・岡正寛子・種村暁也
    • 雑誌名

      川崎医療短期大学紀要

      巻: (38) ページ: 63-69

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 平成29年改訂(定)を踏まえた幼児期の教育と小学校教育の接続の再考―「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を手がかりとして―2018

    • 著者名/発表者名
      中川智之・橋本勇人
    • 雑誌名

      川崎医療短期大学紀要

      巻: (38) ページ: 71-78

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2019-12-27  

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