インターンシップやアルバイトと就職・採用の関連について、日本国内の状況を把握するため、学生、企業へのアンケート調査、インタビュー調査を実施した。 学生調査では主に以下の3点が明らかになった。①インターンシップ(以下「IS」という)先に就職を予定している学生は、IS経験学生の約3割であるが、そのISの約半数はいわゆるワンデイISである。また、アルバイト(以下「AR」という)先に就職を予定している学生はAR経験学生の5%となっている。②ISについては、学生の能力把握、企業の実情把握というよりも学生と企業の最初の接点にしかなっていない。ARについては、大学での専攻と関連が強いアルバイトの場合は企業から誘われるケースも多く、今後の発展の可能性もある。③ISやARに熱心な学生の方が就職成果に効果があったが、その効果は非難関校の方が大きかった。しかし、その効果には自己選抜が働いている可能性があり、これらの要因をコントロールすると効果は軽減されてしまう。 企業調査では主に以下の3点が明らかになった。①採用目的でIS等を実施している企業が多いが、IS等を学生の能力判断に活用している企業は少ない。②IS等を学生の能力把握に活用することについては、ISでは約8割、ARでは半数程度が賛成である。③ISを活用した採用活動は多様であり、業種・規模等を統制しても次のような特徴がみられる。新卒採用者数を超えるIS学生が参加している企業では、ISの日数は短く新卒採用重視。ISの人数は少ないがその中からの採用が多い企業では、ISの日数は長く、ISを必ずしも学生の能力判断に活用しているわけではない。 これらに加え、日本の比較対象として、フィンランド等で企業、学生、大学でのインタビュー調査を行ったが、ISなどの企業実習を求職者の能力把握に活用している企業は数多くみられ、ISの日数も日本に比べ長期間であった。
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