研究課題/領域番号 |
17K04675
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿古 智子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80388842)
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研究分担者 |
武 小燕 名古屋経営短期大学, 子ども学科, 准教授 (00634578)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 公共性 / 深い学び / 中国 / 日本 / 主権者教育 / 政治的中立性 / 歴史教育 / ナショナリズム |
研究実績の概要 |
本年度も日本と中国での実地調査を中心に行った。移転予定地に日本では旧中野刑務所(豊多摩監獄)の門が残されている中野区の公立小学校をケーススタディーに、学校、行政(教育委員会)、地域コミュニティ、保護者の学びをめぐる公共性、政治的中立性の捉え方について、参与観察やインタビュー調査を行った。同じく東京都の公立校でも、新しい独自の取り組みに挑戦している学校(千代田区の麹町中学)などでも視察を行った。また、沖縄県の先生方と主権者教育に関する勉強会も行った。中国では広東省や河南省の小中学校を訪問し、留守児童をめぐる教育政策や学校独自の取り組みについて調査を行った。公共性や国家に対する意識を理解するために、教学大綱(学習指導要領)や教科書、教材などの分析も行った。湖北省では環境保護に関わる民間団体とフィールドワークを行い、コミュニティの様々なアクターが学びの空間をどのように確保しようとしているかを調べた。
そのほか、第三国における事例を比較の視野から参照するために、スウェーデンを訪問し、実地調査を行った。自然と伝統文化を生かしたまちづくりの中で、子どもの学ぶ空間を発展させている事例を重点的に調査した。帰国後には、スウェーデンで子どものための自然教室を開催している専門家を招き、ワークショップを開催した。
これらの研究成果の一部を、阿古、武ともに、日本現代中国学会で発表した。論文やエッセイの執筆も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実地調査、学会などでの発表、ワークショップの実施、論文やエッセイの執筆を順調に進めている。ただ、中国では政治情勢が厳しくなっており、実地調査を自由に行えない状況もある。ただ、現場に入り込んでの授業参観やインタビューは実現が難しい場合も、現地の中国人の先生方の活動に同行する形で参与観察や簡単な聞き取り調査を行うことができる。また、公的な教育施設での調査は難しいが、様々な社会問題の解決に向けて取り組みを行っている民間団体を通しての調査は、比較的行いやすい。工夫をかさねながら研究活動を展開しており、現在までのところ、おおむね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2019年度は、これまで行ってきた実地調査の記録を再度整理し直し、調査が不十分な個所を補うための補足調査を行う。市民や教育関係者と共同で小規模のワークショップなども開催し、そこで聞き取り調査を実施する。
その上で、研究成果の発表に向けた準備を進める。学会や研究会で発表し、フィードバックをもらい、論文や書籍の執筆に生かしていく。次の研究プロジェクトに向けた連携も模索する。関係する研究者と連絡し、研究成果を互いに伝えあい、協力の可能性を具体的に議論する。
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