研究課題/領域番号 |
17K04676
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福留 東土 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (70401643)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 学術経営 / 州立研究大学 / ガバナンスとマネジメント / 教育プログラム運営 / 戦略計画 / 質保証システム |
研究実績の概要 |
29年度に重点を置いて検討したのは、①研究大学の運営モデル、②学士課程教育のマネジメント、③リベラルアーツ・カレッジの経営研究の3つであった。これらのうち、30年度は①の観点を踏まえつつ、②に重点を置く事例研究を実施した。具体的には、米国のペンシルバニア州立大学の事例研究を行った。 学士課程教育が全学の戦略計画の中でどのように位置づけられ、どのような課題が認識されているのか。また、どのような発展の方向性に重点が置かれているのかについて検討した。それを踏まえ、学士課程教育の運営を支えるマネジメント体制、および支援体制について検討した。その上で、個々のマネジメントや支援部局についてヒアリング調査を行い、どのような運営や支援が構想されつつ、全体の構造化が図られているのかについて検討した。 以上の全学的マネジメント・支援の側面に加え、学士課程のカリキュラム運営に着目してヒアリング調査を実施した。特に着目したのは、①学生の専攻選択プロセスとその支援、②一般教育改革の主眼とプロセス、③学生エンゲージメントの向上に向けた取組、④優等学位プログラムの4点である。①については、学生の専攻選択の実態を明らかにするとともに、アカデミック・アドバイジングや学生間サポートを中心とする支援システムについて検討した。②については、全学教員評議会と当該部署を中心とする一般教育の検討と改革の実施プロセスについて、教育改革プロセスの事例として検討を行った。③については、全米的に取組が進行している学生エンゲージメントの動向について整理するとともにペンシルバニア州立大学のケースについて、検討と実施のプロセスを明らかにした。④については、全米動向の把握を踏まえつつ、ペンシルバニア州立大学のシュライヤー・オナーズ・カレッジの学生教育と学生獲得戦略について検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、29年度に事例研究としてペンシルバニア州立大学を訪問して第一次調査を行い、平成31年度に第二次調査を行うことを計画していた。しかし、当初予期した以上に第一次調査によって広範な情報を得ることができ、また人的ネットワークを構築することができた。そのため、30年度に引き続き、同大学に関する現地訪問調査を続行することとした。継続的な調査を実施したことにより、本研究のテーマをかなりの程度消化することができた。31年度は引き続き、米国の州立研究大学に関する調査を、別事例を対象に継続するとともに、30年度までの調査結果を研究業績にまとめる作業を進める。
|
今後の研究の推進方策 |
30年度までの2年間の研究成果を踏まえ、引き続き、米国州立大学の学術経営に関する事例調査を中核に据えながら研究を進める。ガバナンスとマネジメントを統合的にみる観点から全学の戦略計画と組織編成について検討しつつ、主には学士課程教育のプログラム運営について検討を進める。 31年度は、州立研究大学のいまひとつの対象であるカリフォルニア大学バークレー校を事例とする現地訪問調査を進める。29年度に実施した研究大学の運営モデルの検討結果を踏まえつつ、研究大学としての発展過程、および現状に関して、それを支えた理念と思想、プロセス、および運営体制と財政、教育研究システム、社会・地域における受容などについて幅広く検討を行う。その上で、学士課程教育およびその支援システムについて検討を進める。合わせて、前年度までの現地調査結果を踏まえ、それを具体的な研究業績にまとめる作業を行う。 32年度は、州立研究大学の機能と構造を論じたモデル論のレビューを行う。合わせて、前年度までの現地調査を踏まえ、補充調査を実施しつつ、研究全体をレビューし、本研究の成果をまとめる。
|