本研究の主要な知見は以下の5点である。(1)不登校児家族の自助グループのリーダー層は、「地域密着型」と「広域ネットワーク形成型」のリーダーに大別できる、(2)地域密着型のリーダーは強い紐帯に基づく社会関係資本に支えられた治療的なアイデンティティを形成する傾向がある、(3)広域ネットワーク形成型のリーダーは展望的なアイデンティティを形成する傾向がみられた、(4) 広域ネットワーク形成型のリーダー層は、アイデンティティ構築の過程において強い紐帯と弱い紐帯の双方を資源として使い分けていた。これらの違いが二つの類型のリーダー層の生活史の違いを生み出していた。
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