研究課題/領域番号 |
17K04679
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
ミャグマル アリウントヤー 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, その他(招聘研究員) (70752616)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | モビリティー / 日本在住の留学生 / モンゴル人留学生 / 日本語学校 / アンケート調査の結果 / インタビュー調査 |
研究実績の概要 |
一国に留まらないヒト・モノ・カネ・情報のグローバル化が進展している中、質のより良い教育を受ける目的で海外を渡る留学生の移動は、強くその影響を受けながら拡大している。本研究は、国際移動・モビリティー研究の一環として、留学という営みの主体であると同時に対象者である学生(また元留学生)に着目し、留学の経験について構築主義的アプローチに基づき、量と質の双方の側面から総合的に分析するものである。 具体的に、日本を留学先として選択し、国費ないし私費で日本の高等教育機関などに在籍中の、または卒業したモンゴル人を対象に、モビチリティーの意義をどのように捉えればよいのかに対して、留学過程における結果、その背景にある諸要因を探り、明確にすることを目的にしている。 2018年度は、日本の高等教育機関及び日本語教育機関の留学生、卒業生を対象にしたオンラインアンケート調査の分析を在日モンゴル人全体及び在学段階別(グループ)に分析を行った。定量調査の結果について研究会等で報告することで、量的結果をさらに具体的に説明する目的で、次の段階である質的調査を開始した。在日モンゴル人留学生全体において、日本の技術発展に魅了され、学びたい専攻分野もあると同時に、経済的な支援も得られたため、自分の成長及び学位取得のために留学していた。一方、在学段階別に有意義な差があることが分かった。特に日本語学校及び博士課程の留学生に関しては、留学の理由や目的、留学終了後の希望において異なる結果が得られた。グループ間の差が生起した諸要因を探るために、まず質的調査に必要な文献を調査・検討し、それをもとに異なるグループの留学生への事前聞き取り調査を行った。それを踏まえた上で、在日モンゴル人留学生の中で急増傾向にある日本語学校の留学生に焦点を当てて、インタビュー調査を実施し、定性データの作成・分析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度のアンケート調査は、本研究の第1段階であり、本年度は第2段階の質的調査を開始した。質的調査には、文献調査に加え、様々な教育課程の在日モンゴル人留学生へのインタビュー及びライブ調査が含まれているが、本年度は文献調査及びインタビュー調査を進めたものの、ライブ調査自体の実施にはまだ踏み込んでおらず、準備段階に時間がかかっている。それは、定量分析の結果を精査し、質的調査の内容を定める課程において、定量データの加工や分析段階における翻訳(モンゴル語から英語及び日本語へ)・修正等の作業、インタビュー内容の設定と対象者の選択、インタビュー日程の決定、録音内容の文字起こし、加工・分析補助に適切なRAの獲得等の準備段階において予測以上に時間かかったことと関わっている。現段階、定量分析結果を論文にするために執筆作業をすると同時に、インタビュー内容の分析を行っている。ライブ調査を実施するには、博士課程及び学部課程の留学生へのインタビューは不可欠であり、引き続きテープ起こしや日本語ないし英語に訳する作業が必要であるため、作業に協力できる留学生を募集中である。
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今後の研究の推進方策 |
定量調査の分析結果の一部(在日モンゴル人留学生の全体像、日本語学校の学生の特徴に関する)を投稿論文としてまとめる。 博士課程及び学部課程の留学生へのインタビューを行い、本年度中に分析し、学会報告ないし投稿にまとめる。なお、インタビューに参加してくれる留学生の時間を考慮しつつ、日程調整に時間かからないために、実際の対象人数より2人―3人を多くの学生に話し合っており、RAも募集している。 各グループのライブ調査を本年度末に実施し、分析を行い、さらに結果を学会報告及び投稿を通して共有する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の国際学会は、時期的に投稿論文の執筆及び質的分析の作業の進展により参加は難しくなった。次年度は、第1段階と第2段階の研究結果をまとめて日本国内外の学会や投稿などを通して報告するため、旅費を使用する予定である。さらに、次年度には新しいデータの収集や分析作業があるため、新たに研究補助員が必要となる。人件費はそのため使用する。
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