研究課題/領域番号 |
17K04698
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研究機関 | 福山市立大学 |
研究代表者 |
上別府 隆男 福山市立大学, 都市経営学部, 教授 (50350707)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ベトナム / アセアン / 高等教育 / 外国モデル大学 / 国際共同大学 / トランスナショナル高等教育 / 国際化 / 調和化 |
研究実績の概要 |
本科研の研究目的はベトナムにおけるASEAN高等教育調和化と国際共同大学(IJU)の相互作用を明らかにすることであった。最終年度は専らベトナム高等教育国際化の中における独仏日政府支援によるIJU3校(ベトナム・ドイツ大学、ハノイ科学技術大学、日越大学)の位置付け、意義、課題などについて検討を行った。主な成果は以下のとおり。 ○3校とも提供国と受入国の間の高等教育モデルや学術文化の調整で多くの課題を抱えている。 ○IJUは表現や学問の自由が十分保障されていない途上国や新興国に設置されることが多く、受入国で提供できない教育を提供するという補完的役割を持つ。また、IJUには途上国が先進国の高等教育制度を輸入するという側面があるため緊張関係をはらむ。IJUの運営には提供側・受入側双方に一定のリスクは存在するが、IJUがベトナム社会にどの程度浸透していくかは世界のトランスナショナル高等教育に大きな示唆を与える。 ○3校とも学生確保が課題であり、この理由としては、地元で外国モデルの教育を受けることができるというアピールができにくいこと、歴史の浅さや学生の少なさも手伝って卒業生が十分に実績を示せず社会や雇用者の評価が定まっていないことが挙げられる。その他、地元大学の国際化進展による競合の発生がある。最初のIJUとしてベトナム・ドイツ大学が設置された2008年からベトナムは大きな経済発展を遂げ、3校を取り巻く環境は急速に変化している。2015年の首相による世界モデル大学構想の凍結決定などにより、外国をモデルとする大学の振興よりも地元大学の国際化を優先することが鮮明となった。3校がこの逆風の中で役割を明確にし存在感を高めることが持続性に直結する。 なお、本年度は、東京でトランスナショナル高等教育研究会を開催するとともに、米国において海外分校を設置する(又は設置した)大学において調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先方の都合により2020年度に現地調査を繰り下げた。
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今後の研究の推進方策 |
新科研では、ベトナムに加えて、エジプト、マレーシア、トルコに所在するIJUを対象に行うトランスナショナル高等教育の日独比較を行う予定であるが、これにつなげながら本研究成果を論文化、書籍化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国外でのフィールドワークを予定していたが、訪問先の都合により次年度に繰り下げることが妥当と判断したため。
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