研究課題/領域番号 |
17K04707
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
海口 浩芳 拓殖大学, 商学部, 准教授 (10413197)
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研究分担者 |
俵 希實 北陸学院大学, 人間総合学部(社会学科), 教授(移行) (60506921)
竹内 慶至 名古屋外国語大学, 現代国際学部, 准教授 (80599390)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 発達障害 / ASD / ADHD / 就労支援 / 大学 |
研究実績の概要 |
本研究は、大学における発達障害学生の就労支援モデルの提示を目的としている。そのために3つの課題を設定し、メンバー間で分担して進めている。 課題1「企業における障害者就労」(竹内担当)では、具体的な支援について企業からの把握が難しいため対象を変更し、①特別支援学校長への聞き取り、②ADHD障害当事者による就学支援の実態把握を行った。課題2「大学における発達障害学生への就労支援」(俵担当)では当該学生の就職活動について、どのような就職活動を行い、それがうまくいっているのか否かを記録した。課題3「比較対象としての高校における就労支援」(海口担当)では高卒就職率上位3県と下位3県の全高校(1,001校)を対象に「発達障害等のある生徒の進路状況調査」(高校での就労支援に関する項目を含む)を実施しデータを収集した。 また、メンバー間で今年度の成果を総括するなかで、次のような仮説を導出した。これまでの研究で「問題の先送り」が明らかになっている。問題の先送りとは、就職が難しい場合は安易な進学が勧められることをさす。高校は「問題」を大学に先送りするので、大学はその対処を求められる。このとき大抵の当該学生は、大学卒業後は進学ではなく就職希望のため、大学は当該学生を受け入れてくれる業界を選定する必要がある。しかし、特定の業界では受け入れが厳しいため現実問題としてその業界への就職は困難となる。そこである特定の業界(人手不足が深刻な業界)への就職指導/支援にならざるを得ない事態が予想される。すると、海外においてみられる業界ごとにマイノリティが集まる状況と類似の状況が今後生じる可能性がある。このことから、現在の日本では長期(小中高大)にわたり問題が先送りされ続けており、長い学校生活のどの期間にどのような支援をすべきなのかを再検証すべき段階にあるのではないか。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分担者が担当している課題1の「企業における障害者就労」で対象の変更や追加を行ったことが一因である。同じく分担者が担当している課題2の「大学における発達障害学生への就労支援の実態把握」において、夏季休暇中に予定していた聞き取り調査が台風のため2度にわたって取りやめになったこと、また後期授業期間中に予定外の時間を要する大学用務が入ったことで聞き取り調査が実施できなかったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
課題1については、今年度行った取り組みを継続するほか、精神障害者雇用を積極的に実施している企業への聞き取り調査等を予定している。課題2では、今年度実施できなかった聞き取り調査の実施と当該学生の経過観察を予定している。課題3では、高校(公立普通科、公立職業科、私立普通科)での就労支援の実態について担当教諭からの聞き取り調査を予定している。さらにメンバー間で共有した仮説の検証も併せて行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者の俵が担当する課題2の「大学における発達障害学生への就労支援の実態把握」において、2018年度は夏季休暇中に予定していた聞き取り調査が台風のため2度にわたって取りやめになったこと、また後期授業期間中に予定外の時間を要する大学用務が入ったことによって聞き取り調査が実施できなかった。実施の延期を余儀なくされた聞き取り調査は2019年度に行う。
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