最終年度に予定していた“理論構築”は、水上が担当して、2018年に構築したものからさらに改良を行い、主成分分析と組み合わせて、因子負荷量と主成分から多様度(研究分野の連携具合)を定量的に示すことができるようになった。さらに、データのビジュアライゼーションを改良して、ソーシャルネットワーク理論との親和性について考察を展開できるようになった。 この理論と手法は、ソーシャルネットワーク理論である「エンベデットネス理論」、「弱いつながりの強さ」、「ストラクチャル・ホール理論」を実証実験に適用する際に定量的な指標として適用することが期待でき、イノベーションによる新しい技術の創出に貢献できると考えられる。なお、分析は作業量が多いため、水上と本多の両名にて行った。 理論構築、環境構築共に完了しており、本年度は、理論の周知と一般化の検証を目的として、論文誌への投稿を中心に行った。まず、2016年の書誌データを用いたIoT分野の国際比較をテーマにして、統計数理研究所論文誌に投稿、既に掲載済みであす。次に、2018年の書誌データを用いたインダストリ4.0(AI分野、Big-Data分野、IoT分野)の国際比較をテーマにして、ソーシャルネットワーク理論との親和性について考察するものを米国のJournal of the Association for Information Science and Technologyに投稿、現在査読継続中である。なお、統計数理研究所論文誌に掲載された査読論文は、大学評価コンソーシアムを通じて、日本の研究IRに携わる職員と研究者に紹介されている。 査読論文で事例を示すことでこの理論の一般化が進んでおり、研究IR分野の新たな指標として、当該分野に携わる職員や研究者が活用できるようになった。
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