研究課題/領域番号 |
17K04711
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
筒井 美紀 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (70388023)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地場産業開発 / 地域活性化 / キャリアラダー / 地域職業訓練 / 学校から職業への移行 |
研究実績の概要 |
初年度の今年度は、実証研究においては、従来からのフィールドである大阪市浪速区・西成区でのフィールドワークを進め、労働社会学会での発表を経て論文化した。具体的には、大阪府・大阪市の人権政策の転換により、「金網と鋼板塀のまち」と化したまちを再生する地域の取り組みとして、芦原橋アップマーケットを、注目を浴び始めた最近のみならず、オーラルヒストリーを駆使して歴史的展開を解明すると同時に、経路依存的な課題について指摘した。 また、この取り組みの中心にある大阪地域職業訓練機構(Aダッシュワーク創造館)は、マーケットに接続する取り組みとして、一方では労働力斡旋機能を持つ靴職人の訓練インスティテュートを、他方でそこに訓練生を送り込めるようにすべく、近隣の高校で教員と協働しながら進路・職業相談を展開している。これら2つについても同時並行で聞き取りと参与観察を進めてきており、後者については、年度末近い1月になされたシンポジウムのプレゼンテーションとして実現した。 前者については定点観測的聞き取りを継続し、二年度目ないし三年度目に、学会報告および論文として成果を出す予定である。いずれにせよ、地域に内蔵化された産業開発と教育訓練とが、ほんの少しずつではあるが進捗していることが見て取れる。 理論的側面の研究としては、産業・労働と教育の結びつきを、教育社会学が戦後70年間にわたり、どのような問題意識とパースペクティブによってとらえ、どんな知見を生み出してきたかについてのレビューを行ない、今後必要な視座と方法論について論文化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の対象は、現在進行中の、地域における産業開発・住民参加・職業訓練インスティテュート開始・労働市場形成・高校と職業との接続という、まさに地域社会に内蔵化された就労支援であり、それは行政・政治も絡みつつ、少しずつ進捗しているものである。それに合わせて、研究対象者・協力者とのラポールのもとに、定期的に聞き取り調査と参与観察を続けることができており、この意味で、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
前述したように、労働力斡旋機能を持つ靴職人の訓練インスティテュートは、2017年9月に開校したばかりであり、今後の進展を待たねばならない。それゆえ、定期的な聞き取りと参与観察を続ける。近隣の高校で教員と協働しながらの進路・職業相談についても、2017年度に新しい関係性が築かれたところであり、定期的な聞き取りと参与観察を続ける。 なお、これらの実証研究を進めるにあたっては、前述した、理論的検討を踏まえて臨んでいく。
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