研究課題/領域番号 |
17K04715
|
研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
小島 祥美 愛知淑徳大学, 交流文化学部, 准教授 (10449473)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 外国人の子ども / キャリア教育 / 学齢超過 / 高校入試 / 多文化共生 / 義務教育未修了 / 夜間中学 / 外国人学校 |
研究実績の概要 |
今年度は、継続した①公立夜間中学がない義務教育未修了の定住外国人の支援の在り方を探る調査、②全国の自治体における公立高校の入試状況を把握する調査の他、③大学生とのワークキャンプの検証、④地域社会が抱える子育てにかかわる問題としての保護者が安心して子育てができる環境づくりの在り方の検証、の4点に取り組んだ。 ①については、東北地域および東海地域での計2回、学齢を超過した定住外国人の子どもにかかわる支援者に集まっていただき、各地での現状と課題の把握を目的にしたグループフォーカスディスカッションを実施した。この調査結果を生かし、学齢を超過した定住外国人の子どもに対するキャリア教育の在り方の一つとしての公立夜間中学の在り方を考えるシンポジウム(岐阜県可児市)を一般公開で実施することで、調査結果を社会へ還元した。また、当日の様子を報告書としてまとめ、webにアップすることで、当日参加できなかった関係者にも研究成果を広く還元できるように工夫した。 ②については、外国人生徒・中国帰国生徒等の高校入試を応援する有志の会の協力を得て、全国47都道府県と把握できた市立高校がある自治体の合計61地域の状況を調査した。なお、①の調査結果を踏まえた調査項目を新たに加えた。調査結果については、調査概要をわかりやすくまとめ、全国の外国人支援にかかわる関係者等に配布した。また、webにもアップすることで研究成果を広く還元できるように工夫した。 ③については、大学生とのワークキャンプの成果をまとめることで、キャリア教育の在り方を関係者と共に検証を試みた。その結果、キャリア支援として大学生との合宿型ボランティア活動の有効性が非常に高いと考えられた。 ④については、河川での水難事故が多いことに注目し、保護者が安心して子育てができる環境づくりの在り方を検証した。生活者としてのまなざしが不可欠であることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り進むことができているため。なお、上記の研究実績の概要で記載した①について、当初は文部科学省調査で示された日本語指導が必要な児童生徒数が多いが夜間中学がない3地域を選定し、その地域内に暮らす義務教育未修了の定住外国人(高校中退者を含む)の状況を把握する予定であったが、比較検討には2地域が妥当と考え修正して調査研究を進めたことで、概ね順調に進展することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究について、当初は学齢を超過した定住外国人の子どもに対する行政の認識の把握を考えていた。だが、この点について、国(文部科学省)が同じ内容での調査を全国の自治体に対して2018年度に実施していたことがわかったため、国が実施した調査結果の分析から2019年度の研究をはじめたい。重複しない調査を実施することで、対象者への負担還元にもなり、地域社会が抱える問題についての具体的な解決策が見出させるだろう。同時に、当事者や関係者の意見を広く把握できる場づくり(シンポジウム等)もつくっていきたい。 2018年度は学齢を超過した定住外国人の子どもにかかわる支援者に集まっていただき、各地での現状と課題を把握することを目的にグループフォーカスディスカッションを東北地域および東海地域で実施したが、この調査を2019年度は他地域でも実施したい。西日本地域での外国人の子どもの増加が著しいことから、こうした地域が抱える課題を把握することで、新たな示唆を得ることにつながるだろう。 また、公立高校入試の在り方は、今全国でも共通した大きな課題である。そのため、この2年間実施した調査概要をまとめることを含め、継続した調査の実施が地域社会からも強く求められている。調査項目を検討した上で、2019年度も継続して実施していきたい。 その他、大学生とのワークキャンプの有効性についても、引き続き検証していく。最終年度にふさわしい研究に取り組み、学齢を超過した定住外国人の子どもに対するキャリア教育の在り方を具体的に提示できるように努めていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究実績の概要で記載した①について、当初は文部科学省調査で示された日本語指導が必要な児童生徒数が多いが夜間中学がない3地域を選定し、その地域内に暮らす義務教育未修了の定住外国人(高校中退者を含む)の状況を把握する予定であった。だが、比較検討には2地域が妥当と考え修正して調査を進めたことで、概ね順調に調査研究を進めることができたが、地域を減らしたことで次年度の使用額が生じた。 来年度使用額は、比較検討地域を2地域に限定したこの地域について、より丁寧な調査を行う費用にしたい。特に、当事者や関係者の意見を広く把握できる場づくり(シンポジウムの開催)をはじめ、関係者とのグループフォーカスディスカッション、当事者と関係者の両者にも役立つ研究成果物(報告書等)の作成、その成果物発送費用等のために使用する予定である。本研究成果を広く地域社会に還元できるように、努めていきたい。
|