最終年度では、これまでの継続として①全国の自治体における公立高校の入試状況を把握する調査に加えて、②公立夜間中学がない義務教育未修了の定住外国人の支援の在り方を探る調査として、当初の研究計画で欠けていた「生活者としてのまなざし」を重視した研究を丁寧に行った。そうすることで、学齢超過した外国人青少年とはどのような存在であるかを可視化させることで、他地域に応用可能なキャリア教育の方法の提示が可能になるだろうという仮説をたてたからである。 ①については、外国人生徒・中国帰国生徒等の高校入試を応援する有志の会の協力を得て、全国47都道府県と把握できた市立高校がある自治体の合計60地域の状況を調査し、分析した。この分析はわかりやすくまとめ、外国人生徒・中国帰国生徒等の高校入試を応援する有志の会のメンバーのみならず、全国の外国人支援にかかわる関係者等に配布した。 ②については、学齢を超過した定住外国人の子どもに対するキャリア教育の在り方の一つとしての公立夜間中学の在り方を考えるシンポジウム(愛知県名古屋市)を一般公開で実施することで、調査結果を社会へ還元した。そして、「学齢を超過した外国人青少年とその支援者の姿」の可視化にあたっては、公立夜間中学のない岐阜県で活動するNPO活動の10年間を丁寧に分析した。その実相から地域が抱える課題と地域が求める「学び舎」が明らかになった。それらをわかりやすくかつ見やすい報告書にまとめ、全国の外国人支援にかかわる関係者等に配布した。 3年間の研究過程で作成した各種報告書は、いずれもwebにもアップし、研究成果を広く還元できるように工夫した。また、論文等にまとめただけでなく、文部科学省主催の施策検討会議(夜間中学設置推進・充実協議会、外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議)や参議院「 国民生活・経済に関する調査会」(参考人)でも報告した。
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