研究課題/領域番号 |
17K04717
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
田中 希穂 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (40399043)
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研究分担者 |
中瀬 浩一 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (20369309)
大橋 忠司 同志社大学, 免許資格課程センター, 教授 (20755384)
奥野 浩之 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (80552067)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 教職課程 / 動機づけ / 教師効力感 / 教師アイデンティティ |
研究実績の概要 |
教職課程履修学生の早期の段階での教職への意思や意欲・動機を把握し,その推移をとらえることや,教職関連講義や実践実習を通した教員としての資質能力の獲得過程を把握することは,大学側の適切かつ効果的な支援や介入を可能とし,優秀な人材の育成につながると考えられる。そこで,本研究では,教師効力感・教師アイデンティティ・教師として求められている資質能力などが,4年間の教職課程を通してどのように発達するのかを検討するとともに,大学入学時の学習動機・教師志望理由・教職課程履修動機がそれらの発達の相違とどのように関連するのかを検討する。 本年度は,研究初年度に作成した調査票を用いて収集した教職課程履修学生の2年生から4年生のデータの分析を行った。教職課程に本登録を行い,本格的に教職課程を進めていく段階にある新2年生は,教師としての高い適応感と関連する教師効力感や教師アイデンティティの発達には,教師という職業への単なる憧れや他者からの勧めだけでは不十分であり,子どもが好きであり子どもとの生活に充実感を感じることや教師の職業的な価値の内面化など,子どもとの関係性構築や教職・教育に対する価値観が重要であることが示唆された(日本教育心理学会60回総会で発表)。また,2・3・4年生を比較した結果,教師志望理由は外的要因から内的要因へと変化がみられ,教師効力感が向上し,教師アイデンティティの発達がみられた。教職課程の履修を通して,教職を志す価値の内面化が進み,知識の獲得や実習経験は教師としての自負を高めることが示唆された(日本発達心理学会第30回大会で発表)。これらのデータの分析を継続するとともに,継続的にデータの収集を行っている。また,教職課程における効果的な支援や介入を再検討する参考のために,教育水準が世界トップのシンガポールの教員養成についての調査を行った(同志社大学教職課程年報に発表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教職課程を目指す大学1年生から4年生までを調査対象として予定していたが,教職課程への本登録が2年生であることから,大学入学時の調査は実施せず,1年生終了時を縦断的データの最初の調査とすることとした。このような変更が伴ったものの,4年間各学年終了時に調査することにより,教職課程登録時から終了時までのデータ収集は可能であり,当初の目的を達成するのに支障はない。
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今後の研究の推進方策 |
縦断的なデータを収集するために,3年目のデータ収集を実施し,教職関連講義や実践実習を通した変化について検討する。 データの収集率向上,データ入力の簡易化を図るために,Web調査が実施できる体制の構築に引き続き取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ分析および海外での研究発表・調査に必要なノートパソコンの購入を延期したため。 次年度使用計画:物品費(調査・分析・研究発表用Let's noteの購入:40万円),旅費(日本教育心理学会,日本発達心理学会,日本心理学会,日本グローバル教育学会への参加:30万円),消耗品費(調査票印刷費・筆記用具等:10万円),人件費・謝金(データ入力・資料収集補助:10万円),その他(教師教育関連の書籍代,通信費等:28,661円)。
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