開発途上国の学校では、カンニングや盗用などの学業不正行為が日常的に行われていることがある。学校教育の質や援助の効果・効率を低下させているが、その実態の解明は進んでいない。本研究は、開発途上国の初中等教育現場における学業不正について、大学生のライフストーリーから、その実態と背景を明らかにし、防止策について考察することを目的とした。 本研究の最終年度に当たる2022年度は、インドネシアの学業不正の実態に関する調査、及び今後のカンニング研究の方向性に関する考察を行った。具体的には、次のような活動を行った。 (1)インドネシアの大学生に対し、WEBアンケート調査を行った (有効回答数110)。大学生に直接インタビューすることは叶わなかったが、自由記述欄に学業不正に関する経験を詳しく記述してもらうなど設問を工夫することで、アンケートの回答からライフストーリーを構築できるようにした。アンケートは、インドネシアの教育専門家に翻訳を依頼し、WEBアンケート調査会社を通じて配信した。データは収集できたが、分析については2023年度中に行うことができていない。 (2)先行研究を再度検討し、今後のカンニング研究の方向性を考察した結果を、欧米の生徒・学生の学術不正に関する研究を中心に行っている学術団体International Center for Academic Integrity 及び北米比較・国際教育学会(Comparative and International Education Society)において発表した。
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