研究課題/領域番号 |
17K04722
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
江藤 智佐子 久留米大学, 文学部, 准教授 (30390305)
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研究分担者 |
椿 明美 札幌国際大学短期大学部, その他部局等, 教授 (00320581)
和田 佳子 札幌大谷大学, 社会学部, 教授 (80248666)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ビジネス分野 / 職業能力 / チューニング / 職業能力評価基準 / コンピテンシー / NQF |
研究実績の概要 |
本研究は、教育プログラムと職業資格を<共通のものさし>において可視化しているNQF(National Qualification Framework:国家学位資格枠組)に着目し、ビジネス分野を対象に業務横断的な職務を担う事務系職種に焦点をあて、(1)国内の職業資格と教育のレベルの内容と実情を把握し、(2)海外のNQF先端事例の内容を調査・検討することで、(3)国内と海外の職業能力を横断的に検討するレベルチューニングを行うことで、ビジネス分野の職業能力の共通点、相違点を整理し、アウトカムベースの教育プログラムを総合的に探究することを目的としている。基準となる職業資格は、厚生労働省が策定した職業能力評価基準を用いることにする。 1年目は国内調査を行い、NQFの萌芽的取り組みとして厚生労働省の職業能力評価基準の事務系職種について、その成立過程を中心に、資料収集、関係者へインタビュー調査の結果を検討した。その結果、日本的雇用慣行のもとでのメンバーシップ型労働市場において、最も職業能力の評価が困難となることが予想されたビジネス分野の事務系職種から職業能力評価基準の策定が進んでいったこと、その策定段階ではビジネス・キャリア検定が参照されたが、技能検定では説明指標(レベルディスクリプタ)が「知識」、「技能」の2つの項目要素での評価にとどまっており、職業能力評価基準へと展開する際には3番目の要素として「職務遂行能力(コンピテンシー)」が追加されたことで、国際的なNQFと同様のタキソノミーが採用されていたこと、そして2016年度の第2回目改訂では、新たに「エントリーレベル」が追加されたことで、これまで労働市場のみを対象としていた能力評価が、教育機関と労働市場の接続への試みが見られるようになったことなどが明らかになった。また、ビジネス分野の対極にある医学教育モデルを参照とする調査も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内調査の結果をもとに、分担者と研究成果の発表計画を立て、研究を各自自律的に進めたことで、学会発表6件、雑誌論文7件の研究成果につなげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ビジネス分野のレベルディスクリプタの解明に向け、分類方法と評価方法をさらに検討する予定である。「知識」「技能」を応用的、統合的に活用する「職務遂行能力」について、「職能給」の成立過程も考慮しながら、教育学だけでなく、経営学も視野に入れながら、多角的に「職務遂行能力(コンピテンシー)」の解明とチューニングを行うことにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中から親の介護が発生したため、研究代表者の出張が困難となった。当初予定していた全体研究会ならびに訪問調査を取りやめ、極力Skypeを用いた研究会を行ったことで、旅費等の経費が削減された。2年目となる2018年度には、昨年度実施できなかった全体研究会の実施ならびに海外動向の文献翻訳や海外調査の準備を行う予定である。
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