研究課題/領域番号 |
17K04723
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研究機関 | 岡崎女子短期大学 |
研究代表者 |
大倉 健太郎 岡崎女子短期大学, 幼児教育学科, 教授 (10266257)
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研究分担者 |
桜井 愛子 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 准教授 (00636003)
湯藤 定宗 玉川大学, 教育学部, 准教授 (20325137)
吉高神 明 福島大学, 経済経営学類, 教授 (80258714)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 災害復興 / 地域再生と公教育 / リスク社会 / 防災教育 |
研究実績の概要 |
災害後における公教育の役割と地域の再生を考える視点として、平成29年度は教育サービス(たとえば、バス通学)、持続可能性(環境保護など)、防災や減災(安全など)、そしてモビリティ(社会移動)などを置くこととした。また、復興に果たす教育の役割を人間形成の点から考えた時、「自助-共助-公助」のプロセスにおける自助の力は大きく、教育がこの自助の開発にどのように関われるか関心を払う必要があることが確認された。ただし、海外途上国ではインフラ整備に力点が置かれ、「Build back better(よりよい復興)」のように国土強靭化へと進む傾向があることが確認された。 東北を主たる対象として調査を行った吉高神氏と桜井氏からは、住民の地元地域への帰還が進みつつあることが報告され、住民が過去の災害を対象化できるようになってきている実情が報告された。たとえば、住民が福島を特別視することなく日常を語ろうとする傾向や、石巻では防災マップの作成に着手しているように津波被害について具体的な話ができるようになってきているという。また、桜井氏からは仙台市片平地区を事例として、地域が主体となって防災を学校任せにしない取組み(「防災宝探しゲーム」)が生じているとの報告があった。ただし、学校には防災への備えが期待されていることには変わりはないという。仙台市の一部では、こうした二重の備えができつつあることがわかっている。 米国ニューオーリンズ市で調査を行った湯藤氏と大倉からは、災害後、学校での「食育や自家菜園」活動、STEM教育といった正課以外の教育活動への取り組みの広がりが報告された。被災経験は市民共通の意識や記憶として刻みこまれ、学校教育では自然環境への配慮や地域の産業に対する意識の高まり、地域住民の関係性の(再)構築として表れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各自、予定通りに研究調査を進めている。ただし、今後は復興が進みつつあるケースのみに着目するのではなく、その逆で復興が遅れている地域に着目する観点から調査対象に変更が加えられた。インドネシアのアチェ州からニュージーランドのクライストチャーチが新しい変更点となる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、全員に共通した課題として「地域(を)再生(しようとしている)モデル(は自律型か他律型かを含める)」について明らかにすることとした。また、調査対象において、公教育は地域再生に対して機能しているか(または、機能していないのか)検討を行うこととした、 個々の計画として、湯藤氏は学校づくりと教育成果、アカウンタビリティに着目した災害復興について、吉高神氏は防災とニュージーランドの事例に着目した災害復興について、桜井氏は学校(移転)と地域の関係や防災教育、それに伴う国際協力からみた災害復興について、大倉は正課以外の新たな教育プログラムと災害復興との関係について、各自新たな知見を求めて研究を進めていくこととした。
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次年度使用額が生じた理由 |
国外調査に変更が生じたため、次年度へと先延ばしを行った。たとえば、中国四川省からニュージーランド・クライストチャーチ市へと調査対象を変更し、渡航を延期したたため。
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