研究課題/領域番号 |
17K04724
|
研究機関 | 平安女学院大学短期大学部 |
研究代表者 |
新谷 龍太朗 平安女学院大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (10783003)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | コモンコア / AVID / スマートスタート / リーディングワークショップ / ゲイツ財団 / ESSA |
研究実績の概要 |
2019年度調査では、高次の学力形成を目指すカリキュラム改革に置いて懸念される学力格差縮小の下支えとして、どのような取り組みが行われているかについて具体的な実践例を観察することに務めた。特に、児童生徒の読解力を高めることが期待されるリーディング・ワークショップ、下位~中間層の生徒の大学進学を支援するAVID、全米共通カリキュラムを志向するコモンコアに対応するゲイツ財団の数学プロジェクトに焦点を当てた。 まず、連邦レベルでの学力格差是正政策であるESEAの概要やその影響についてヒアリングを行い、障害をもつ生徒に対する取り組みが重視されるようになったことや、テストのプレッシャーが未だ様々な場面で感じられることを明らかにした。 リーディングワークショップについては、様々な活動を用意し子どもたちがローテーションしながら自由に学べるステーションワークや、chrome bookを使ったプロジェクト学習、基礎的なスキルを身につけるためのエンリッチメントの時間などと組み合わせた取り組みが見られた。その結果、低学力であった生徒に一定の学力向上が見られた。 ゲイツ財団の数学プロジェクトでは、コモンコアに対応した授業案や授業用ツールがサイトにアップされており、それに基づき郡の指導主事なども加わりながら研究授業を行う様子が見られた。しかし、その意図が十分に教員に伝わっていなかったり、柔軟な対応ができなかったことから、授業がうまくいかない様子も見られた。 AVIDでは、どのようにクラス作りを行うか、中高接続をどのように行うか、大学進学の奨学金申請を授業内でどのように指導するかなどをヒアリングした。また、実際にAVIDプログラムで進路が拓けた教員や生徒にインタビューすることで、AVIDプログラムにどのような意義があるかを明らかにし、日本での高等教育の修学新支援制度を活用する上での示唆を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、マイノリティや貧困層の生徒を継続的に観察するというパネル調査については、2018年度のハリケーン・フローレンスにより学力調査の実施が十分にできず、またカリキュラムの進度としても正確な評価ができないこと、校長交代により学校内の体制が変わったことから、調査期間を延長することで対応することとした。
|
今後の研究の推進方策 |
学力データの経年変化につき追い、2019年度に観察した取り組みの評価を行う。 計画していた地域全体で貧困層の児童生徒を支える仕組みとして、国際的にも注目され始めちえる保育政策であるスマートスタートに着目し、就学前からどのように学力格差縮小の取り組みが行われているかの予備調査を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に計画していた調査が、ハリケーンのため実施できなかったため、調査期間を延長した。
|