研究課題/領域番号 |
17K04726
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研究機関 | 国立教育政策研究所 |
研究代表者 |
豊 浩子 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, フェロー (00727688)
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研究分担者 |
岩崎 久美子 放送大学, 教養学部, 教授 (10259989)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域社会関係資本 / 離島 / 地域のつながり |
研究実績の概要 |
本研究では、離島という過疎化、少子高齢化、貧困などの課題が顕著な地域において、人々の信頼や社会的ネットワークによって構成される社会関係資本が、どのように機能し、子供の教育環境に影響を与えているかを明らかにするために、鹿児島県奄美大島における(1)離島特有の歴史的、地理的特異性を踏まえた社会関係資本の実態と課題の把握、(2)社会関係資本の子供の教育環境への影響、(3)成功事例を踏まえた地域に求められる社会関係資本形成のあり方の検討・考察、により、わが国の離島における子供の教育環境改善に資する社会関係資本の規定要因を検証し、今後、同様の課題を抱える地域に通底する教育施策への知見を提供することを目的としている。 2018年度は社会関係資本形成の取り組みについて奄美市と龍郷町でインタビュー調査を行なった。インタビューは奄美市名瀬の自治会による「夏休み子ども塾&子ども食堂」及び「寺子屋」活動、奄美市の名瀬ライオンズクラブによる「あまみ寺子屋」、奄美市PTA連絡協議会による「あまみ子ども読書・新聞応援プロジェクト」、奄美市による学習支援事業及び中学生対象の進路ガイダンス、龍郷町による公営無料塾及び「子ども博物学士講座」、龍郷町公民館の三味線教室の各担当者に実施した。 その結果、奄美大島での地域のつながりを保持、再構築しながら子ども達を育てていこうとする様々な取り組みが確認された。地域の伝統行事・文化の継承や地域のつながりという社会資本は、子ども達の島への愛着を育み、再生産されている。その一方、子どもや保護者が学力や将来のキャリアプランの必要性に関心が低い状況に対する懸念が複数のインタビューで指摘された。将来島で安定した仕事に就けることも視野に入れ、島で必要とされる資格やスキルを身につけられるための施策が模索されながら実施されており、持続可能な社会資本形成に向けた取り組みが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は当初の予定どおり、インタビュー調査を実施し、また文献研究も予定通り継続して行なったため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画どおり、2019年度は、文献調査及び聞き取り調査結果の分析・考察を行い、奄美大島固有の知見及び他の地域に適用可能な知見の整理を行い、社会関係資本形成について総合的に考察を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に予定していた文献収集のための海外調査と沖縄調査が、日程の都合で実施を延期したため、該当金額が未使用となっているが、2019年度に当初の予定に加えて実施する予定である。
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