研究課題/領域番号 |
17K04729
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
菊野 雅之 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90549213)
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研究分担者 |
府川 源一郎 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (00199176)
八木 雄一郎 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (80571322)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 近代 / 国語科 / 教科書 / 平家物語 / 往来物 / 古状揃 / 教材 / 近世 |
研究実績の概要 |
近代における国語科という枠組みの形成に関する研究が進捗することに平行して,制度形成や古典教科書,文学史の問題について言及する成果が積み重ねられてきた。また,軍記研究では,『平家物語』の叙事詩論の歴史的展開について整理がなされ,近代における『平家物語』享受史の全貌が明らかにされた。今年度は,近代のはじまりからさらに時間を遡り,近世における『平家物語』教材論を試みた。特に『平家物語』がどのように教材化されていたのか,というところに焦点をしぼった。『平家物語』一つをとっても,近世と近代では教材としての評価の基準は異なるし,近代も言文一致運動の前後でその位置付けは異なる。それらの差異を明らかにすることは,現代に続く我々の古典教材へのまなざしの起源や特徴をより俯瞰的に把握することにつながっていく。まず『平家物語』の往来文を扱った往来物,特に古状揃と呼ばれる往来物が素読・書写という教育活動にどのように利用されていたのかを確認した。古状揃群は,その教材性が意識されるにつれて,その書式・内容を充実させていくこととなるが,その変化についても明らかにした。また『平家物語』自体,具体的には当時の流布本(版本)を読むこと自体に寄せられた教育的効果についても述べ,近世における『平家物語』の教材性を把握するに至った。 また、ここ数年の『平家物語』研究の概要についても整理を行い、教科書掲載古典教材の研究のための基礎的な知見の強化を行った。 芳賀矢一・保科孝一らの編集した国語読本の目次データの作成・収集・精査も着実に進捗し,明治期教科書関連の著書の出版にも至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
芳賀矢一・保科孝一らの編集した国語読本の目次データの作成・収集・精査も着実に進捗しているため。また、教科書分析のための古典に関する基礎的な知見も蓄えられ、より精度のある分析の土台形成が進められているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き教科書の目次データ入力・精査を着実に進めていく。エフォート確保が難しい場面も想定されるため、通常の大学内講義と研究内容を関連付けるなどの工夫を行い、確実な研究推進の手立てを打ちたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
通常業務の多忙化のため、研究分担者会議を実施することができなった。ただし、メール会議等で最低限の意思疎通は行い、会議実施の不足の補完を行った。また、大学院生の研究協力者への依頼も本年度は進学者が少なかったために行えなかった。 次年度繰越金については、教科書収集の充実のための図書購入を十分に行い、研究の精度向上のための使用とする。
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備考 |
研究会報告 菊野雅之「指導事項を観点とした教材研究の方法論」釧路国語教育学会 北海道教育大学釧路キャンパス 2017
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