翰林大学校日本学研究所・立教大学日本学研究所主催の「東アジア文化権力研究学術フォーラム 伝統と正統性、その創造と統制・隠滅」というシンポジウムにおいて「近代国語教科書における教材化の力学」という発表を行い、教科書研究の方法論および古典教材の分析法について明らかにした。令和2年度第75回北海道国語教育研究大会 十勝・帯広大会においても、教科書分析の方法論、授業構築についての助言を通じて、授業実践の構築の方法論について知見を深めた。全体的な研究成果については、著書としてまとめ、初稿の確認が終わり、出版に向けて準備中である。並行して、教科書単元の構成や評価問題の作成の方法論ついても知見と実績を深めた。その成果を今年度中に著書としてまとめる計画である。 今後は、教科書分析、歴史的研究のアプローチと実践的・実用的アプローチの融合が重要な観点となるため、その方法論も模索する必要がある。加えて、教科書の分析方法や学習指導要領、指導事項そのものに対する歴史的批評、批判的検討の叙述も必要である。これまで国語科教育学としてはそういった視点で議論されることは少なく、研究と学習指導要領(教育行政)との関わりはつかず離れずの微妙な距離感のなかで形成されてきた。これについて歴史的知見から批評的に論じ、教育学における国語科の指導内容の検討の視野を拡大していく必要があるだろう。そのために歴史研究と現在の学習指導要領のあり方を紐付けながら論じる研究スタイルが求められる。
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