研究課題/領域番号 |
17K04733
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
小野 恭子 弘前大学, 教育学部, 講師 (60634558)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生活時間 / 小学生生活実態 |
研究実績の概要 |
2017年度に、降雪地域であるH市で行った生活時間調査結果を家庭科教育学会例会にて報告をした。小学生の生活行動は、収入労働時間・家事的時間・生理的時間・学習時間・余暇活動時間の5大分類とさらに15の小分類に集計し平均値を求めた。降雪の前後で比較したところ、降雪時には雪かきなどが含まれる家事的時間及び運動・運動の移動時間が含まれる戸外活動の時間が多くなることが明らかとなった。 降雪時期に家事時間が増える理由として、この地域では例年80センチを超える降雪があり、雪かきが生活行動の一部分となっており、小学生も雪かきを手伝うことが習慣になっているからであると考えられる。一方、戸外活動の時間が増えることは、降雪時にはスキーなどの戸外活動を行う機会が増え、スキー場に行くための移動時間も増えること、さらには運動などを行う場合には室内でも行える場所での活動となり、競技の種類によっては、居住地域から離れた室内練習ができる場所まで移動することもあるため、移動時間が長くなっていることが推察された。いずれの行動も休日に増えており、平日は降雪前後で変化が少ないことが明らかとなった。これは平日は学校で過ごす時間が1日の大半を占めているためであると考えられる。 また、市街地の学校と市街地から離れた学校で比較したところ雪かきの時間は市街地から離れた学校で多くなっていたが、これは市街地から離れている学校の地域では、住宅同士が離れているために、雪かきをする場所が広いという地域の影響を受けているものと考えられる。 一方で、降雪前の時期における市街地の学校と市街地から離れた学校を比較したところ、市街地から離れた学校では、家業の手伝いをしている時間が多くなっていた。降雪前の調査時期には、この地域の産業の一つである農作物の収穫時期と重なっているために、家族の職業にも影響を受けている場合があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
理由 本年度は体調不良のため、6ヶ月間の休職をしたため、十分に研究を行うことができなかった。ただし、調査から得られた児童の生活実態について学会発表を行うことはできた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初計画していた降雪地域であるが、家族の職業が会社員である地域および同県内であるが降雪が少ない地域での生活時間調査を行う予定である。よってより深く地域における降雪による影響及び家族の職業における児童への影響を明らかにする予定である。 一方で29年度に実施した弘前大学附属小学校での授業実践をもとに行った改善授業を公立小学校で実施し、児童が生活時間調査を教材とした授業の中から将来の生活設計についてどのような学びを行うか検証する予定である。授業実践の検証後は、小学校家庭科における生活時間調査を教材とした授業の普及を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は体調不良のために6ヶ月間休職をした。そのため研究が中断され、当初予定していた地域における調査用紙の送付および実地調査を行うことが不可能となった。また物品の購入も行わず、さらに計画していた学会発表が実施できなかったため旅費についても使用していないためである。 次年度については、本年度に行えなかった他2地域における調査依頼、調査実施、実地調査および学会発表を行う予定である。
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