本研究は鑑賞のあり方をめぐる方法論を新たに開発し、構築するべくその有効性を実践的に検証しようとするものである。とくに感性化の方法として「フィードバック鑑賞」が提案される。参考作品や模造作品を介在させ、さらには作品成立の根拠として文化依存性を踏まえて、改めて鑑賞に臨む方法である。ここでポイントとなるのは、本絵へフィードバックさせることで、美的体験が探索的な形で新たに追加される。反転効果によって、造形的特徴の感性的把握と最終的な主題の感受に、生徒を立ち向かわせることができる。その有効性を申請者が開発した評価法で検証することで、感性重視型の鑑賞体験モデルがここに確立された。
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