研究課題/領域番号 |
17K04739
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
宗形 潤子 福島大学, 総合教育研究センター, 准教授 (10757529)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生活科 / 砂遊び / 教育的効果 / 入門期 / 居場所づくり / 屋外活動 / 実態調査 |
研究実績の概要 |
小学校生活科において砂遊びを行うことがどのような教育的効果を生み出すのかについて、研究協力校の具体的な子どもと教師の姿を継続的に関与観察し、記録を累積している。記録については、砂場での教師の意識的、または無意識的な関わりを、観察を基にしたエピソードから考察し、実践者(当該教師)と共有している。学校現場で砂遊びの教育的効果について捉え、実践へと結び付けて行くためには、子どもと教師の事実から実感を得る必要があり、そのために教師が授業中に関わることができる子どものみでなく、関与観察という方法を基に観察者が記録し伝えることは子ども理解とともに実践へのフィードバックも期待できるという点で有効である。この件については、平成30年度日本保育学会の自主シンポジウムにて発表した。 福島県内における屋外活動・砂遊びの予備調査からは、福島第一原子力発電所の事故の影響での屋外活動の制限という経験の影響を知ることができるようにしたが、さらに問いを焦点化し改善していく必要性が見えてきた。 福島市内小学校において、小学校における砂遊びの授業への提案を行ったが、そこからは小学校における砂遊びの教育的価値への認識があまりないことが明確になった。カリキュラムを開発して行くためには、実践者である教師と学校全体での理解ができるより具体的な働きかけが必要であることが明確になった。 砂場環境について、研究協力町において、全幼稚園・保育園・小学校の砂場環境を調査を行なった。今後、子どもにとって遊びやすい砂の基準に照らし合わせ、造形しやすい砂と入れ替えることで子どもたちの遊びがどのように変わっていくかについて調査研究の計画を立案している。併せて教師が砂遊びについて学ぶための、プログラムを計画している。これらのことは、まず教師が砂遊びの教育的効果を体験的に学んでいくという意味で大きな効果があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
継続的な関与観察を行い、予備調査、砂場環境の調査を進め、日本保育学会でも発表することができたが。予想以上にこれらに時間がかかり、歴史的研究と実践と教育的効果については、整理にとどまっている部分もあるが、全体的な計画についてほぼ順調に進められているため、概ね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
関与観察について、幼児教育で進められてきた先行研究に基づき、小学校生活科の砂遊びにおける子どもの学びをエピソード記録と考察としてさらに累積していく。さらに累積したことについて、日本保育学会、生活科総合的学習教育学会で発表すると共に生活科総合的学習教育の学会誌への投稿をする。また、小学校低学年の実践をどのように記録すべきかについては、関与観察、エピソード記録、考察という方法で進めることの有効性についても野外文化教育学会において発表し、学会誌に投稿する。これらの発表や投稿により、広く周知されることを目指していく。 福島県内における屋外活動・砂遊びの調査については、問いを焦点化し改善し協力市町村に依頼し、進めていく。 造形しやすい砂を使って実際に教師が体験するプログラムを実施することで砂遊びの教育的効果について学ぶ機会を設け、生活科の授業において実践できるように支援していく。歴史的研究と実践と教育的効果については、整理にとどまっているものを論文としてまとめ、紀要等に投稿していく。 実際に砂遊びを生活科に取り入れ実践している小学校を訪問し、その成果と課題について明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を計画していた書籍が、絶版となっており購入することができなかったため。今年度、古書なども調査し購入を進めていく。
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