研究課題/領域番号 |
17K04744
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
河内 昭浩 群馬大学, 教育学部, 准教授 (10625172)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 教育学 / 語彙指導 / 児童文化 |
研究実績の概要 |
今年度は、研究実施計画に示した「学習語彙対象媒体の選定」の中で、特に1.(2)にある児童図書の選定に取り組んだ。 群馬大学教育学部附属小学校の協力を得て、小学校各学年における貸出上位図書のリストを作成した。そしてそれら貸出上位図書の文章の形態素解析を行い、語彙データベース作成を行うという作業に多くの時間を費やした。小学校第1学年及び第2学年各10冊、計20冊のデータ整備を終え、小学校低学年児童対象の児童図書語彙表を作成した。語彙表には、度数、品詞、語種などのデータを記している。今後、別学年の児童図書のデータや、教科書等のデータを揃え、本語彙表を拡充していく。 研究論文としては、単著「小学校語彙指導の研究―説明的文章の学習における語彙指導―」(群馬大学教育学部『群馬大学教育学部紀要人文・社会科学編』、第67巻、35-46頁)をまとめた。本研究の研究目的の一つである、新しい学習指導要領に基づく語彙指導の提案である。 また口頭発表としては、単独「教科書コーパス活用による学習基本語彙の選定方法例」(「鍛える国語教室研究会」第8回全道大会(空知大会)、上砂川町立中央小学校、『指導案・教材集』1-4頁、2018年1月)を行った。以前の研究で作成した教科書のデータと本研究の成果の一部を活用して、学習基本語彙の選定についての提案を行った。 また別に、上述した小学校低学年児童対象の児童図書語彙表を活用した単著「児童図書の言葉―小一・貸出上位図書を対象に―」(日本国語教育学会編、『月刊国語教育研究』、2018年6月掲載予定)を提出済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
児童図書の選定とデータ処理に多くの時間を費やしてしまい、他の調査対象媒体の処理を行うことができなかった。 児童図書を調査対象とした語彙調査を、本研究で初めて行うことになった。そのためまずは試験的なデータ処理が必要であると考え、アルバイトの雇用や業者委託をひとまず行わずに、個人で作業でを行った。かつて行ったことのある教科書に比べ、一冊当たりの語彙量が10倍程度多く、また紙面構成も複雑で、語の取り出しや解析データの補正作業に大きな時間を割いてしまった。そうしたことが進捗が遅れた要因となった。
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今後の研究の推進方策 |
語彙データベース作業のペースを上げるために、アルバイトの雇用や業者委託を行う。 児童図書のデータベース作成を引き続き行うとともに、教科書のデータベース作成に取り掛かる。 また一定程度蓄積したデータを活用して、研究論文や口頭発表もこれまで同様行っていく。 また別に、研究実施計画では児童を対象に語彙理解度調査を行うとしている。しかしデータベース作成の遅れもあり、その実施に遅れが生じる可能性もある。 代わりに、小学校現場の教員に児童図書の語彙表を示し、児童図書の語彙についての、教員の意見の集約を図りたい。研究代表者は、小中学校の教員研修で講演する機会が多い。そうした機会を用いて、教員に意見を求めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたアルバイトの雇用と業者委託を本年度行わなかったため。 来年度、繰り越した額をアルバイトの雇用と業者委託の代金に充てる予定である。
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