これまでの児童図書、小学生新聞、教科書の調査データを集約し、「小学校教科書語彙の研究(2)」(群馬大学共同教育学部『群馬大学教育学部共同教育学部紀要 人文・社会科学編』第71巻、39-49頁)としてまとめた。児童生徒周辺の学校内外の語彙を調査し、包括的に学習すべき語彙を明らかにした現代的研究は他にない。教科書が、児童図書や小学生新聞の語彙をどの程度カバーしているかを、カバー率のデータによって明らかにした。また、図書、新聞、教科書いずれにもある語を基礎語、図書や新聞に多いにもかかわらず、教科書にはない語を学習語とし、その実態を品詞別に明らかにした。 また今後の語彙指導研究の在り方について、「語彙指導のさらなる充実にどう取り組むか」(『教育科学国語教育』第64巻2号、明治図書、50-53頁)で提言を行った。これまでの研究成果を整理するとともに、学年、校種別の学習語彙表の必要性を説いた。 また学会発表として、以下の二編を発表した。「小学生新聞の語彙と教科書の語彙」(全国大学国語教育学会第140回春期大会(オンライン)、『国語科教育研究 研究発表要旨集』、229-232頁)、「「国語の特質」研究の多様化―「知識及び技能」の活性化のために―」(第141回全国大学国語教育学会世田谷大会(オンライン)『国語科教育研究 研究発表要旨集』、211-214頁)。前者は新聞と教科書の比較である。後者は、生徒の語彙実態を分析し、これまでの調査データと重ねて報告した。
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