2022年9月に、2010年ごろから今日までの国語科教育学の研究をまとめた『国語科教育学の成果と展望Ⅲ』(全国大学国語教育学会編、渓水社)が刊行された。研究代表者は、第5章3節「国語科学習基本語彙研究の成果と課題」の執筆を任じられた。まず本稿そのものが最終年度の本研究の成果である。またその中には、「他教科の教科書等も対象とした研究」「児童図書の研究」といった項目を立て、その中に本研究の成果である論文(「各教科の学習に資する中学校国語科学習語彙の選定」日本教科教育学会『日本教科教育学会誌』第40巻1号、「小学校国語科における語彙指導―児童図書の言葉・教科書の言葉―」『初等教育資料』2019年5月号No980等)を収めることができた。国語科教育の語彙研究の枠組みの中に、他教科との関わり、児童図書との関わりを定置できたことは、本研究の最大の成果と言える。 また、本研究の成果の一つである教科書語彙の研究(「小学校教科書語彙の研究」群馬大学共同教育学部『群馬大学教育学部紀要 人文・社会科学編』,第70巻)が、日本語学会による「2020年・2021年における日本語学会の展望」(『日本語の研究』共架第19巻1号)に掲載されている。教科書語彙研究の成果であるとともに、国語科教育学のみならず日本語学研究としても評価いただけたことも、本研究の大きな成果と言える。 また最終年度の研究成果として、学習者の手書き作文と打ち込み作文に見られる語彙の比較研究がある(「手書き作文と打ち込み作文の比較」解釈学会誌『解釈』第68巻5.6号など)。研究開始当初は想定しえなかった学習環境の変化に応じて、本研究を発展させることができたと考えている。
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