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2020 年度 実施状況報告書

ペアでの美術鑑賞による「他者性の対話」の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K04752
研究機関新潟大学

研究代表者

佐藤 哲夫  新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (90187211)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード超越 / 美術 / 美術教育
研究実績の概要

平成2年度は,対話による鑑賞教育において,超越的次元をどう捉えるべきかの研究を行った。
現行の学習指導要領を見ても,「超越的次元」についてどのような態度を取るかという問題は残されたままである。
鑑賞教育における鑑賞は,通常,自己の意識と能力によって実現されるものであると理解されている。このような「資質・能力」を養うのが鑑賞教育であると考えられている。しかし,芸術である作品は,鑑賞者の認識力で覆い尽くすことは不可能である。しかし「芸術作品>鑑賞者の認識力」と見るなら,この関係は,不等号記号によって比較計量可能な項同士の関係であることも含意していることになる。芸術作品の超越的次元とは,この不等号による表現が不可能な関係のことである。そうした超越的次元は,やはり,わからない「謎」として感じ取られるのではあるが,形のない謎であり,疑問形としてネガティブな陰画で指し示すことができない。いわば,その存在も謎であるような謎である。
存在を明示し,科学的に実証することもできない超越について,公教育の場で語ることは許されることなのだろうか。想起されるのは,公教育における宗教教育の扱いである。芸術と宗教の間には,近代以降の両者の分離が進んだ後でも,なお通じ合う関連があるように思われる。芸術の超越を言及しているエチエンヌ・スーリオとブランクーシを論じたエリアーデの著作からその一端を明らかにした。
教育基本法に立脚すると,宗教教育の価値を全否定はしないが,宗教教育の必要性も明言できない実情が,結局は非宗教教育と反宗教教育の推進を結果しているのと同様に,美術における超越的次元を否定した内在の美術観と美術教育の推進を結果することになっている。しかし,「無限」や「他なるもの」といった「外」との関係を完全に絶てば,それは美術の否定になる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

理由は大きくは二つある。
一つ目は,新型コロナ感染症拡大対応の影響で実験調査活動に狂いや遅れが生じ,研究成果としてまとめることが出来なかったためである。
二つ目は,新しく発足した大学附属学校部の統括長就任により,文献研究の時間が十分確保出来なかったためである。

今後の研究の推進方策

一年間の延長で今年が最終年度のまとめの年に当たる。
これまでのペアの鑑賞と比較するためにの追加の鑑賞の調査を行う。
また,文献研究については,他者性の他者と対話についての哲学的理論,各種対話論,美術鑑賞論の接点の追究に注力する。

次年度使用額が生じた理由

発表予定だった学会が新型コロナ感染症拡大の影響でオンライン開催になるなどで,予定の旅費が消化出来なかった。
また,やはりこれも新型コロナ感染症の影響で,子どもを対象とした学校での調査実験の目処が立たず,実験で使う複製画資料の選定が出来なかったため,資料や機材の購入を次年度に持ち越すこととした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 超越的次元に関わる鑑賞教育と対話2020

    • 著者名/発表者名
      佐藤 哲夫
    • 学会等名
      大学美術教育学会

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公開日: 2021-12-27  

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