研究課題/領域番号 |
17K04753
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
足立 幸子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30302285)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 読書 (reading) / 評価 (assessment) / ルーブリック / テスト / 質問紙調査 / ジャンル / 読書意欲 (motivation) / 読書の取組 (engagement) |
研究実績の概要 |
本研究では読書を認知的・非認知的側面に分けてとらえるという枠組みで、その評価手法を研究していく。平成29年度の比較的早い段階(平成29年5月)で、先行の調査研究を例としてではあるが、この枠組みについて学会の課題研究発表において論じることができた。以下、本研究の実績を、認知的側面の評価を「(1)読書活動場面の質的分析法」「(2)テスト」に分けて、非認知的側面の評価は「(3)質問紙調査」について述べる。 (1)読書活動場面の質的分析方法については、Fountas & Pinnell のGenre Studyについて、ノンフィクションの読書指導に焦点にあてて論文にまとめた。 (2)テストについては、アメリカの全国統一テストであるNAEP(National Assessment of Educational Progress)について、読むこと(reading)のテストの枠組みの変更等を確認した。しかし、細かい調査問題の分析等は行えていない。一方、NAEPを作成しているETS(Educational Testing Service)が読むことや書くことの前提となっている思考力の評価として試作しているCBAL(Cognitively Based Assessment of, for, and as Learning)について、研究して論文にまとめた。また、スペインの全国統一テストについて、スペイン教育省の協力研究機関であるINEEを訪問し、問題作成者にインタビューし、その調査問題や調査の仕方の特徴について情報を得ることができた。 (3)質問紙調査については、NAEPの過去の質問紙調査を概観した。また、アメリカの研究者と読書意欲(motivation)に対する質問紙調査の比較研究を進めつつある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究については、予定どおり進まなかった部分と、平成30年度以降に予定以上に進めることができた部分があり、全体としてはほぼ順調に進展していると考える。以下、その内容を述べる。 (1)読書活動場面の質的分析方法については、Fountas & Pinnell のGenre Studyを研究しているが、研究開始当初の予定は、フィクションについて研究する予定であった。しかし、実際には、平成28年度まで行っていた研究の関心からのつながりで、当初平成30年度に予定していたノンフィクションの読書指導の方の研究が進んだ。 (2)テストについては、アメリカのNAEPについては、読むこと(reading)のテストの枠組みの変更等を確認したのみで、あまり進展していない。しかし、一方で、スペインの全国統一テストについては、当初平成30年度に予定していたスペインの小学校最終学年(6年生)のみならず、小学校3年生、中学校最終学年(中学4年生)の全国統一テストについて、スペイン教育省の協力研究機関であるINEEを訪問し、問題作成者にインタビューし、その調査問題や調査の仕方の特徴について情報を得ることができた。 (3)質問紙調査については、アメリカのNAEPの質問紙調査の分析は行えていない。しかし、アメリカと日本の小学生について、読書意欲を質問紙調査によって比較研究を行う準備が始まった。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究をふまえて、平成30年度は次のように進める。 (1)読書活動場面の質的分析方法については、引き続きFountas & Pinnell のGenre Studyについて、フィクションを含んだ全体像をとらえつつ、その指導の中で評価がどのように扱われているか丁寧に調査を進めていく。 (2)テストについては、平成29年度に情報を獲得したスペイン統一テストについて、分析を進め論文を作成する。 (3)質問紙調査については、アメリカと日本の小学生の読書意欲を比較する質問紙調査を実施する。また、可能であれば、Linda Gambrellらの行っている質問紙調査について情報を入手する。
|