本研究の目的は、社会的・政治的事象と、子どもの認識との間に存在する乖離を架橋することができる主権者教育の学習理論の構築と教材開発、その実証研究 である。本研究では、法学教育における法的推論を身につける教育方法を活用した主権者教育の研究を行う。 具体的には、次の6つの研究を目的達成のステップとする。つまり、(1)法学における法的推論の内容とそれらを育成するための理論研究、(2)法的推論を社会科教育で 活用するためのプロジェクト型学習(プロジェクトベースドラーニング)の理論研究、(3)(1)や(2)を踏まえた主権者教育の学習理論の構築、(4)(3)の構築のために、アメリカ合衆国のナショナル・イシューズ・フォーラムズ(以下、NIF)の熟議民主主義フォーラム活動の研究、(5)(1)から (4)を踏まえた教材開発、(6)開発した教材の実証的研究である。 最終年度は、これまでの研究の成果から(5)の教材開発、及び、(6)の実証的研究を行った。教材開発は、中学校社会科だけでなく、高等学校の公民科を対象としたものを作成した。中学校社会科の実証的研究については、神奈川県、新潟県、福島県の中学校でそれぞれ1回、東京都の高等学校で2回実施した。さらに、本研究の主たる目的でもある熟議の研究成果を反映し、さらに、ICTを活用して他県の中学生をオンラインでつないで授業を行った。また、その成果を、論文や学会等で発表した。
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