研究課題/領域番号 |
17K04761
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
桐原 礼 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (10555311)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 初等音楽教育 / スペイン / 学校の多文化化 / 多様なルーツの子ども |
研究実績の概要 |
本年度は,スペインの初等音楽教育カリキュラムにおける身体表現の内容について確認するとともに,ムルシア州内公立小学校に勤務する音楽教員の音楽科授業指導計画書の分析を行った。スペインでは2013年のLOMCE法下のカリキュラムより「学びの評価標準」が設定されたが,身体表現の活動と評価標準,さらに7つのコンピテンシーをどのように関わらせているのか,音楽教員作成による指導計画書において,活動内容の系統性と評価について分析した。ムルシア州のカリキュラムにおいては各学年の各活動内容について評価標準が設定されており,国レベルのカリキュラムよりも評価について詳細に記されていることを確認した。また各教員が実際に児童の評価を実施していくために,指導計画書においては,活動内容・評価標準・7つのコンピテンシーが関連づけられて明記されていることを確認した。この結果については,日本音楽教育学会第48回全国大会(於 愛知教育大学)にて口頭発表を行った。 また,身体表現の教授学を主な専門とし,ヨーロッパ各地や中南米にて多くのワークショップや講演会を実施している,スペイン国立アリカンテ大学のハビエル氏を信州大学教育学部に招聘し,特別講義を実施するとともに研究上の助言を得た。氏は民族音楽学の見地より世界各地のボディー・パーカッションを取材してきており,学校音楽教育および音楽療法に向けて,教材化や指導法の開発をしてきている。特別講義における音楽的な活動の部分を取り上げ,身体の動きを通した音楽的な概念の獲得や文化的認識の促進などの効果について確認した。これについては,長野県音楽教育学会の会誌に投稿し掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度にあたる本年度においては,カリキュラムや指導計画書の分析を実施するとともに,スペイン人研究者を招聘して特別講義を実施した。これらの一部について,学会口頭発表を行うとともに,論文として投稿し掲載された。他にも論文投稿を予定していたが間に合わなかったため,「おおむね順調」とした,
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今後の研究の推進方策 |
2年目にあたる来年度は,社会的・文化的コンピテンシー育成に向けて,身体表現活動をどのように関連づけていくことができるか,音楽教科書やその他教材を分析する。 また,スペインにおいて身体表現の教授学を専門としているスペイン国立ムルシア大学の研究者を招聘して特別講義を実施し研究上の助言を得るとともに,身体表現の活動内容と社会的・文化的コンピテンシー育成との関連づけについて考察を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定よりもスキャナーやワイヤレススピーカーが安価に購入できたため,約2万円が残額となった。次年度使用額として,物品購入費や学会参加費などに充てる予定である。
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