本研究は,小・中学校の美術教育の授業として,主に3DCGやアニメーションなどの映像メディアを用いた表現活動を教材として円滑に実施できることを課題とした基礎研究の一部であり,特に協同学習の効果を有効に援用することからその指導法を確立することを主な目的とする。また,その過程において,美術教育の表現領域一般における協同学習の機能の理解を掘り下げることにより,美術教育のアクティブ・ラーニングとしての特徴を明瞭にすることも副次的な目的としている。本年度は,これまでの研究成果をもとに,ストーリー共有の教育機能を活かすことから表現と鑑賞を有効に一体性させた授業デザインを示し,下記の概要の授業デザインにて授業実践を行い,想定以上の教育効果をあげることができた。 ①赤・青2色による2コマの手描きアニメーション(小学4年生対象):4名グループにて赤と水色のマーカおよび青と赤のフィルタにて得られるアニメーションを作成する。全員が,他者3名と交錯した計12点を作成し,そのうちの4点によって展開するストリーナレーションを添付し,グループ単位で作品を発表し相互に鑑賞する。 ②タブレットPCを用いたコマ撮りアニメーション(小学5年生対象):児童1人に1台のiPadにアプリkomakomaを用いて,4名グループにて,各自の作品にセリフ,ナレーション,字幕等を想定した意味づけを行いながら,4点の動画の連続によって展開するストーリーを作成する。グループ単位で作品を発表し相互に鑑賞する。 ③3Dストーリーアニメーション(小学6年生対象):児童1人に1台のパソコンに3DCGソフト,1グループにつき1台のパソコンに動画編集ソフトを用いて,4名グループにて3DCGアニメーションを作成する。グループ単位にて,セリフ・ナレーションを作成し,効果音や編集効果を用いて1つの動画作品とする。グループ単位で作品を発表し相互に鑑賞する。
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