研究課題
本研究全体の目的は,アーギュメンテーション構造という視点から,数学の単元構成と授業過程の間にある一貫性を明らかにするための分析手法を確立することである。2019年度の研究計画は,2017年度・2018年度の研究活動及び研究成果を総括し,国内外の学会やジャーナル等で成果発信を行うことであった。この計画に基づき,日本科学教育学会年会でアーギュメンテーション分析の方法論に関する発表を共同で行った。その発表内容は,トゥールミン・モデルに基づく授業過程の研究方法であり,2018年度に研究代表者が中心となり開催した国際研究集会およびワークショップをベースとして新たに作成した。また2019年度は,数学の単元構成に関するもう一つの分析手法を教科書分析に適用した論文をまとめ,数学教育学の国際ジャーナルに投稿し掲載された。その論文の中で,日本の中学校数学教科書(特に図形領域)をイギリスの数学教科書と比較し,日本の数学教科書の内容構成の特徴を様々なレイヤーから明らかにした。本研究の成果をさらに発展させるため,2018年度に開催した国際研究集会での招聘研究者との共同研究を推進した。その共同研究を通して,アーギュメンテーション分析の応用可能性を高めるとともに,授業中の学習活動に関するより深い洞察を得るため,局所的な構造と大局的な構造の両面から把握する手法の改善を図ることができた。このように2019年度の研究活動の要点は,前年度までの研究活動に基づいて「分析手法の確立」という研究成果を国内外で発信したこと,およびアーギュメンテーション分析に関する新たな研究課題の発掘に取り組んだといえる。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
International Journal of Science and Mathematics Education
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