研究課題/領域番号 |
17K04776
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
住田 勝 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40278594)
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研究分担者 |
森 美智代 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (00369779)
寺田 守 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (00381020)
渡辺 貴裕 東京学芸大学, 教育学研究科, 准教授 (50410444)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 文学教育 / 認知的道具 / 深い学び |
研究実績の概要 |
最終年度は、理論的に想定した文学テクストの読みを駆動する「認知的道具」のより実践的な場面での機能を確かめるために、大阪教育大学附属池田小学校国語部との共同授業開発を通して、幾つかの授業実践を構想した。その中で、物語に描かれた「存在」、わけても「人物」の設定、関係、変容に注目した「紅鯉」(三省堂小6)の実践を通して、小学生にとっては長大で複雑な物語を楽しむ際の強力な武器として機能することが確かめられた。また、その際、このテクストの特徴である、「水を抜かれた川」という特殊なフィールドの空間的条件を読み取りに活かすために、テキストの読み取りに相即させながら「川の見取り図」を作成させ、その図式の交流を通して、物語が展開する「場」の持つ意味を社会的に共有する「対話的学び」を組織した。こうした認知的道具を、テクストの特質に合わせて準備し、持ち込むことによって、学びを効果的に支援できることを実践的に確かめることができた。 また、連続反復型プロットのスケールメリットを活かした取り組みを、茨木市の公立小学校との授業研究の中で共同開発することができた。それは、「名前を見てちょうだい」(東書2年下)のような作品で、中心人物の前に反復的に現れる人物を、もう一人登場させてみようというような創作活動によって、学習者が物語の反復構造を内面化し、そのことによって、山場の変容を鋭く理解する手助けができることを確かめることができた。 しかし、取り組むことのできた研究的視野に基づいた授業実践は、系統的かつ包括的な取り組みとは言えない。協力いただいた実践現場の環境、実践を構想する必然性を継続的に整え、学年を超えた系統的計画的な取り組みを組織することの難しさがはっきりと見えてきた。
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