研究課題/領域番号 |
17K04784
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
丸山 範高 和歌山大学, 教育学部, 教授 (50412325)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 教師の専門性 / 教科内容観 / ナラティヴ・アプローチ / 教師の語り / 国語科教師 / 国際バカロレア |
研究実績の概要 |
本年度の研究成果は、1.前年度の調査分析結果の全国学会での口頭発表【5月】、2.前年度より研究協力者となっている高校教師(国際バカロレア・プログラムに関わる高校教師、地域との関わりを重視する非都市部高校教師)を対象とする現地調査2回目(国語科授業観察・インタビュー)【9月~2月】、3.インタビューデータの文字化、および、「教科内容観」と「教師の専門性向上」との関わりについての考察【9月~2月】、に大別できる。 以下、上記3点の研究成果について具体的に説明する。 1.学会発表要旨集・当日配付資料では、高校国語科教師6名が、教科内容観を変容させてきた実践の足跡を提示するとともに、教師間での共通性と個別性を考察した。さらに、教科内容観の変容の背景には、教師に適応を迫る外在的教育理論や生徒との関わりから紡がれる内在的教育理論が影響していることを報告した。 2.現地調査2回目は、前年度調査で明らかになった各教師が捉える授業改善のための課題についての1年間の取り組み状況を調査した。各教師が、授業改善に向けて、学校内外のどのような専門家(同僚教師・他校教師・地域の専門家など)とどのように関わり、教科内容観がどう修正され、どんな授業として現象しているのかを調査したのである。 3.2で行ったインタビューデータを文字化する際には、授業観察記録データと照合させつつ、授業の事実と教師の語りとの関係性を追記することで、データ分析を効率よく進められるよう努めた。調査分析結果より導かれた現時点での結論は、概括的なものではあるが、次の通りである。国語科教師が持つ教科内容観そのものと、教師の専門性向上の過程には、それぞれ教師間で多様性が認められるものの、その多様性に基づく授業実践がいずれも、生徒のことばの学習の充実に結実しているという結論である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画は、前年度に依頼をした研究協力者を対象とする継続調査を実施することと、調査データを分析・解釈し、教師の専門性向上の多様性についての結論の大まかな見通しを得ることであり、両者とも遂行することができたからである。なお、継続調査を実施することで、前年度以上に、各教師が備えている国語科教師としての専門性を豊かに概念化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度に引き続き追跡調査を実施し、調査結果のより丁寧かつ精密な分析を心がけ、3カ年におよぶ調査結果を総合し、国語科教師の専門性向上プロセスのモデル化を試みる。なお、構築したモデルは、他の学術分野(経営学など)における人材育成モデルと対照させ、教師ならではの成長の固有性を解明できるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査の一部について、異常気象等の影響により日程調整ができず、調査が遂行できなかったことが理由である。 次年度は、年度当初から調査に着手できるよう、研究協力者との打ち合わせを綿密に進める予定である。
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