研究課題/領域番号 |
17K04786
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
小笠原 拓 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (20372675)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 国語教科書 / 戦前期中等教育 / 古典作品 / データベース |
研究実績の概要 |
3年目は、これまでの研究状況を踏まえ、ここまで行ってきた研究の経緯についていくつかの報告を実施し、関係する研究者との連携を図るとともに、新たな研究体制の構築に向けた作業を進めることを中心に行った。 具体的には2019年6月におこなわれた第136回全国大学国語教育学会(茨城大会)のラウンドテーブルにおいて、「戦前期中等学校国語科教科書研究の現状と課題―「高等女学校国語教科書一覧表」の作成を手掛かりとして―」と題した発表を行い、関係する研究者との連携を図った。次に同年9月に行われた中国・北九州国語教育学研究会において、「戦前期中等学校国語科教科書に関する研究―教科書一覧作成と目次データの取り扱いを中心に―」と題する発表を行い、これまでの経緯や研究の進捗状況、課題などについて報告して、更に広く意見を求めた。最後に、今年度までの研究状況や課題について、「戦前期中等学校国語科教科書に関する研究―教科書一覧表の作成と目次データの取り扱いを中心に―」(『地域学論集』鳥取大学地域学部紀要、2020年3月)として論文化し、これまで作成した高等女学校国語教科書一覧表、師範学校国語教科書一覧表とともに発表した。 以上のように、この3年間において行ってきた研究について、研究の意義、基礎的データの収集と整理、研究体制の構築などを進め、その成果報告を学会報告と研究論文の形でまとめ、次年度に向けた研究の方向性を定めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既に報告を行ったように、本研究は1年目の段階において、研究内容の性格や資料の状況から、当初の方法とは異なり、関連する研究者との連携を図って、目次内容のデータベース化を行いつつ研究を深めていく方向へと舵を切っている。今年度はそのための研究体制を構築する上で大きな進展があったと考えている。但し新型コロナウイルスの影響もあり、来年度以降、資料収集において大きな困難が待ち受けていることが予想されており、さらに研究の進め方を再考する必要に迫られる可能性も否定できない。本研究が当初目的としていた、戦前期における典作品の収録状況に関する実態の解明という点でも、別の方略も含めた研究の方法を模索する必要があり、この点からも、研究の進捗について楽観視することはできないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、筆者が作成したものを含め、戦前に出版された検定済国語教科書の一覧表がデータ化され、その全体像が把握できつつある。まずはこれらを何らかの形で公開し、共同で目次内容を入力できるような仕組みづくりを進めたい。そうすることによって、それぞれの古典作品がどのように収録されてきたのか、その変遷を大局的に把握することができるようになり、大きな研究の進展に繋がると考えている。そのために、データベース作成やシステム構築、およびその公開に関するノウハウを有する研究者とも連携を図り、研究を進めていこうと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
既に報告しているように、本研究は、1年目の段階で研究の方法論を大きく変更し、資料の収集や整理をより大規模に行うこと、そのための研究体制を関連する研究者と構築することに重点をおいて研究を進めてきた。今年度はこれまでの研究成果をまとめ、その報告を様々な形で行うことによって、その目的を達成しようとした。従って研究資金については、研究体制の構築によってなしうる研究の可能性を広げるために、支出をできるだけ抑制し、前年度までに収集した資料の整理を進めるとともに、所属機関の研究費を用いて発表活動を行うことにした。最終年度は、これまで整理してきた資料に関するデータベースの構築と公開を中心に資金を活用したいと考えている。
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