研究実績の概要 |
本研究の目的は,幼児・児童の不確定な事象に関する生活経験の実態及び確率概念の実態を横断的・縦断的に把握するとともに,幼児・児童の確率の認知過程の考察を踏まえて,幼小接続期における確率概念の形成を意図したカリキュラムを開発することである。本研究目的を遂行するために,研究初年度である平成29年度は,先行研究・実践事例・諸外国におけるカリキュラムを考察を踏まえながら,幼児・児童の不確定事象に関する生活経験及び確率概念の実態を横断的に把握するための実態調査を,広島県下の幼稚園及び保育所の幼児(30名),小学校1年生の児童(34名)を対象として実施した。実態調査においては,児童の生活経験を踏まえた分離量素材(トランプ,サイコロ,コイン,玉)及び連続量素材(スピナー)を用いて,1:不確定な要素を含む遊び(トランプ,サイコロ,コイン,くじ)の生活経験及び具体的な問題場面における事象の起こりやすさの認識・判断を問う問題,2:玉ひき(分離量素材)の当たりやすさを判断する問題,3:スピナー(連続量素材)の当たりやすさを判断する問題を設定し,それぞれの問題場面における児童の確率判断の実態を捉えるとともに,Vinner, S,Hershkowitz, Rによる共通概念経路の検定の手法を確率に関する異質の問題間の認知経路の検定として適用し,問題間の認知経路を考察することを通して,先行研究において調査の対象とされていない幼小接続期における幼児・児童の不確定事象に関する生活経験及び確率概念の実態を把握した。
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