研究実績の概要 |
本研究は,幼児・児童の不確定な事象に関する生活経験の実態及び確率概念の実態を,横断的・縦断的に把握するとともに,幼児・児童の確率の認知過程の考察を踏まえて,幼小接続期における確率概念の形成を意図したカリキュラムを開発することを目的とするものである。研究第3年次に当たる2019年度は,幼児・児童の不確定な事象に関する生活経験及び確率概念の実態についての横断的・縦断的考察の結果に基づき,第2年次に考案した学習材及び学習指導過程についての実践的検討・改善を行うことを目的として,研究を推進した。実態調査における横断的・縦断的考察については,本研究第1年次に幼稚園の年長であった子供(第3年次には小学校第2学年児童になっている)を対象に,不確定な事象に関する生活経験及び確率概念の実態(共通概念経路)の変容を縦断的に考察するとともに,第1年次の横断的考察,第2年次の縦断的考察の結果との比較・検討を行った。また,第2年次に引き続き,幼児・児童の不確定な事象に関する生活経験及び確率概念の実態(共通概念経路の検定に基づく確率の認知過程)を考慮した学習材及び学習指導過程のモデルを考案するとともに,幼稚園児及び小学校第1学年児童を対象としてた授業実践(実験)を行った。評価においては,幼児・児童の起こりやすさの判断についての質的な変容をパフォーマンス課題とルーブリックを用いて考察し,考案した学習材及び学習指導過程の有効性を検証することができた。
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