研究課題/領域番号 |
17K04797
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
長井 克己 香川大学, 大学教育基盤センター, 教授 (20332059)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 英語学習者 / 子音知覚 |
研究実績の概要 |
初年度の先行研究調査,実験準備,予備実験を踏まえ,本実験を行った。実験は英語を母語とする語学教師10名余と,日本人大学生20数名に謝礼を払って参加してもらった。日本人の英語学習歴は結果に大きな影響を与えると考えられるので,参加者を留学経験がなくTOEFL等のスコアを持つ学生に限り,その半数をCEFR Cレベルの上級英語学習者として初級学習者と上級学習者の変数幅を確保した。
追加の実験として,既習の言語の影響を避けるため,試験語では新たに破裂前に気息を伴う子音を導入した。これはケルト語(スコットランドゲール語)で観察されるpreaspirationと呼ばれる音響的特徴で,日本語及び英語では共に無声破裂音としか知覚されないものである。この音声を含む文を実験参加者に提示し,その文が正しいか否かの判断を依頼すると同時に,その反応時間を測定した。
さらに,この母語にない音を事前に聞き取り学習した群と,その音をただ聞き馴染むだけの群を設け,両者の新しい言語の獲得状況を正答率及び反応時間で分析した。この枠組みは,小学校で新たな教科として導入された英語科において「文字と音との対応」に指導の時間を割くよりも,外国語活動で従来行われてきた「音声に親しむ」ことの充実が有効ではないかとの仮説に基づくものであった。このデータは第18回小学校英語教育学会予稿集で発表した(台風接近により発表できなくなったが,別の学会で口頭発表し論文化の予定である。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定の実験は終了し,その分析とまとめの段階である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度として,研究の総括を行う予定である。
本年度新たに導入した「日本語にも英語にもない音素」による実験は,従来の日英語の比較音響分析の枠組みを超えるもので,母語にも学習対象言語にも影響を受けない点が望ましいものであると考えられる。一方,当初予定していたVoice Onset Time(VOT)に代表される地域差・個人差の大きいデータは定量的な測定が難しく,今回の録音では断念せざるを得ない状況となった。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置及び人件費を便宜的に初年度に割り当てたため,繰り越しが発生した。
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