最終年度は,これまでの実験結果の整理と発表・論文化を行った。その内容については「研究成果報告書」にて詳細に記述公表を行うが,最終年度の実績として以下を追記する。 初年度及び2年目に本研究で行った実験は,学習者に外国語音声を提示し,その語彙性(学習対象言語の語であるか否か)の判断を依頼したり,未知言語の文法性(学習対象言語の文として正しく語彙が並んでいるか否か)判断を多人数に効率よく行う必要に迫られた。そこで(1)HTML5を用いてウェブブラウザとサーバで行う実験,(2)ウェブ上のGoogleFormからYouTubeを利用し回答を回収する実験,(2)市販の実験用ソフトウェア(SuperLab)で外部タイマを制御する実験,(3)フリーウェア(praat)のスクリプトをUSBメモリから実行する実験,の4種類の方法を実際に行い,それぞれの長所短所を比較した。ミリ秒単位の制御の難しさ,非圧縮形式の音声提示の可否,安定性とセキュリティの確保など,様々な問題を解決するためのヒントが明らかになったので,「フリーソフトウェアによる聴覚実験」として公開した。 また,本実験で扱った英語の音素配列の難易度は,小学校で新たに始まった文字と音の関係についての学習に直結するテーマでもある。勤務校で行われた教員向け免許法認定講習でもその一部を紹介し,教材の一部とすることができた。
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