研究課題/領域番号 |
17K04805
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
與儀 幸朝 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 講師 (70773365)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 柔道授業 |
研究実績の概要 |
平成29年度の主な目的として、保護者、教員、生徒を対象とした柔道授業の実態調査であった。 保護者を対象とした調査では約1,200名から回答が得られた。その結果、柔道授業を実施している中学校の約8割の保護者は、重大事故やケガなどの危険性に不安を抱いていることがわかった。特に1年生の保護者が2年生及び3年生の保護者に比して不安を感じる傾向が有意に高かった。また、柔道経験がない保護者は柔道経験がある保護者に比して、柔道授業の危険性への不安を感じる傾向が有意に高かった。しかし、経験がある保護者のなかでも64.7%は不安を感じていることがわかった。さらに、柔道授業の危険性に不安を感じる保護者は、不安を感じない保護者に比して、体格差や体力差の考慮は必要と考えている傾向が有意に高かった。しかし、不安を感じない保護者でも体格差(76.5%)、体力差(72.8%)の考慮は必要と考えていることがわかった。 教員を対象とした調査では約130名から回答が得られた。その結果、重大事故やケガの危険性から特性を味わう学習指導が展開できないことがあると回答した教員が69.9%存在し、ほぼ全ての教員が安全性の確保は他の単元より留意している実態が判明した。また、技能指導において、投げ技では、膝車、支えつり込み足、大外刈りの「取」の指導が「受」の指導に比して難しい、固め技では「受」の指導が「取」の指導に比して難しいと回答している教員が多っかた。さらに、小学校段階から水泳や球技などと同様に柔道も導入することで学習指導が展開しやすくなる、また重大事故やケガのリスクを低下させると思っている教員が多かった。特に若手の教員にその傾向が高かった。 生徒を対象とした調査では約1,000名から回答が得られた。実施時期が三学期だったため現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、柔道授業について保護者、教員、生徒を対象とした実態調査が計画されていた。研究協力者や現場の先生方の協力が得られ、データの解析等もおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、前年度に得られた知見をもとに中学一年生段階の柔道授業における安全性の確保と種目特性を味わうカリキュラムを検討し、その実現可能性について研究協力校にて実証する。具体的には、安全に考慮した技能指導(受け身、投げ技、固め技)の順序性や指導内容の吟味、また限られた配当時間数のなかで種目特性を味わう学習指導の検討を行っていく。 なお、前年度(平成29年度)の調査結果は、今年度(平成30年度)学会発表や論文により公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力校にて生徒に実施した調査が当初計画では2月に終了する予定だった。しかし、インフルエンザの流行による学級閉鎖などで協力校の授業が計画通りに展開されずに遅れが生じた。そのために回収が3月末になった学校が複数あった。従って、データ入力の人件費が計画通りに使用できなかったのが理由である。翌年度分として請求した助成金と合わせて早々にデータ入力の人件費として使用する予定である。
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