研究課題/領域番号 |
17K04810
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
奥村 高明 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (80413904)
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研究分担者 |
池内 慈朗 埼玉大学, 教育学部, 教授 (10324138)
一條 彰子 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 主任研究員 (40321559)
東良 雅人 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (70619840)
宮本 友弘 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (90280552)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 美術鑑賞 / ルーブリック / 統計分析 / 学力 / 図画工作科教育 / 美術科教育 |
研究実績の概要 |
令和元年度は平成30年度に開発したルーブリックと質問紙をもとに、埼玉県内のA中学校でウェイティングリスト・コントロールデザインを用いた調査を行った。調査対象は「朝鑑賞」にはじめて取り組む1年生128名とした。分析結果は以下である。 ・質問紙の探索的因子分析(最尤法)の結果からは、①鑑賞学習自己評価尺度は第Ⅰ因子「鑑賞に関する知識・思考」 第Ⅱ因子「鑑賞に向かう態度」 第Ⅲ因子「鑑賞に関する知識・思考調整」の3因子構造で成立しており、第Ⅱ因子が、第Ⅰ因子を動かし、第Ⅲ因子「鑑賞に関する 知識・ 思考調整を働かせながら進行しているという学力モデルが想定できる。②学年比較の結果からは、1年次から朝鑑賞に取り組んでいる2・3年生は、1年生との間に「鑑賞に関する知識・思考」 「鑑賞に関する 知識・ 思考調整」等において有意な差が見られ「朝鑑賞」の効果が推察される。③ウェイティングリスト・コントロールデザインの分散分析の結果からは、時期の主効果のみが有意であった。多重比較の結果、群や尺度にかかわらず「事前調査」<「事後調査1」≒「事後調査2」であり、ルーブリック自己評価に関わらず「学習水準の確保」「教師が鑑賞のファシリテーターの役割を適切に果たしている」等が考えられる。 ④ルーブリックの合計得点を用いた分析からは、前期実施群については自己評価が中程度、あるいは高い群のほうが、事前事後で鑑賞学習自己評価尺度の得点が伸びていた。クラスター分析からは、自己評価を変動させたものほど、鑑賞活動自己評価尺度、鑑賞活動選好尺度が高まっていた。 結論として、鑑賞学習には、鑑賞に関する知識や思考、これを調整しようとする学力の育成に一定の効果を果たしていること。ルーブリックが適切に機能すれば、一定の効果(自分自身が行ったことを可視化する等)があることが判明した。
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